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[特派員コラム]終戦宣言、韓国・北朝鮮・米国で夢は違うが

登録:2021-10-23 07:06 修正:2021-10-23 08:26

 2007年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と金正日(キム・ジョンイル)国防委員長が平壌(ピョンヤン)で会談し採択した10・4南北首脳宣言(南北関係発展と平和繁栄のための宣言)には、朝鮮戦争の終戦宣言が明文化されている。第4項に「南と北は、現停戦体制を終息させ、恒久的な平和体系を構築していかなければならないということで認識を共有し、直接関係する3者または4者の首脳が朝鮮半島地域で会い終戦を宣言する問題を推進するために、協力していくことにした」となっている。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、盧武鉉政権末期に大統領秘書室長として10・4南北首脳会談と首脳宣言に深く関与した。朝鮮半島の平和構築で終戦宣言が持つ意味、そして、安定した朝鮮半島を次期政権につなげることの重要性を、誰よりよく知っているとみなさなければならない。

 今の文大統領は、14年前の盧武鉉大統領を思いださせる。任期末期だが朝鮮半島平和プロセスの再稼動をあきらめず、その触媒剤として終戦宣言を強力に推進している。文大統領が先月21日、国連演説で「南北米の3者または南北米中の4者が集まり、朝鮮半島での戦争が終了したことを共に宣言することを提案する」と述べたのは、10・4首脳宣言を連想させる。文大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長による2018年の4・27板門店宣言にも、「終戦宣言」と「3者または4者会談開催」が含まれている。

 2018年と2020年に続く国連だけで3回目となる文大統領の終戦宣言の提案に前後し、政府はこの問題に外交力を総動員している。チョン・ウィヨン外交部長官、大統領府のソ・フン国家安保室長、パク・チウォン国家情報院長、外交部のノ・ギュドク朝鮮半島平和交渉本部長など、外交安全保障に関する主要な人々が米国を始めとする周辺国とせわしい協議を続けている。

 しかし、このような総力戦においても、韓国・北朝鮮・米国はいまだ各自の夢を見ているものとみられる。韓国は、終戦宣言は北朝鮮との対話を促進するための政治的宣言だと強調する。朝鮮半島平和プロセスの呼び水だというわけだ。しかし米国は、北朝鮮の非核化のロードマップや行動なしには終戦宣言を先に行えないという流れだ。政府当局者は「終戦宣言について米国との共感が強まった」と伝えている。しかし、2006年11月にジョージ・W・ブッシュ大統領が盧武鉉大統領との首脳会談で「朝鮮戦争の終了宣言はできる」と言及した時から保持していた「先に非核化、後で終戦宣言」の基本方針が、ジョー・バイデン政権で変わったとみるのは難しい。反対に北朝鮮は、終戦宣言に条件を付けるなという。終戦宣言と核放棄を等価交換できないというわけだ。最近は、金正恩国務委員長が「終戦宣言に先立ち敵視観点と政策から撤回されなければならない」と要求し、価格をさらに高めた形だ。

 終戦宣言に成功した場合、朝鮮半島情勢の大きな変化のきっかけにすることができる。しかし、韓国・北朝鮮・米国の根本的な認識の違いを考慮した場合、早期に成功すると期待するのは難しいというのが現実だ。政府としては、まず米国を完全に説得し、北朝鮮が受け入れるようにしなければならないという高難度の課題を抱えている。任期末期であるので、国内外的に動力の確保に制約もある。

 条件が悪いわけではない。北朝鮮は終戦宣言に関心を示し、とにかくこれを機に韓国と米国に関与してみようとする意向を示した。同盟を重視する米国のバイデン政権も、文大統領の終戦宣言の提案を突き放さず、真剣に額を突きあわせている格好だ。

 終戦宣言に進む道は容易ではないが、むやみに貶める必要もない。現政権の任期中に最大限の対話と平和の流れを造成し、次期政府に引き渡すのを悪いとは言えない。北朝鮮も、韓国と米国の努力に対話で応じる姿勢を示さなければならない。

//ハンギョレ新聞社

ファン・ジュンボム|ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1016132.html韓国語原文入力:2021-10-22 02:34
訳M.S

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