北朝鮮が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最近国連総会で繰り返し提案した終戦宣言について「象徴的意味はある」としつつも「目の前の現実は、終戦宣言採択が時期尚早だという問題を提起している」と述べた。
北朝鮮のリ・テソン外務次官は24日、朝鮮中央通信を通じて発表した談話で、「第76回国連総会の舞台で、朝鮮半島での終戦宣言問題が再び浮上している」とし、このように主張した。リ次官は「終戦を宣言するとしても、終戦を妨げる最大の障害物である米国の朝鮮に対する敵視政策が残っている限り、終戦宣言は虚像にすぎない」とし「諸般の事実はまだ終戦を宣言する時ではないことを立証している」と明らかにした。そして、今年2月と8月に行われた米国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の試験発射と、韓国に対するミサイル指針の終了宣言、韓国と日本に対する武装装備の販売承認、オーストラリアへの原子力潜水艦建造技術移転を例に挙げた。
対外用メディアである朝鮮中央通信を通じて発表された今回の談話は、北朝鮮の人民の「必読書」である労働党中央委機関紙「労働新聞」には掲載されなかった。メッセージの対象と事案によって発表の窓口を変えてきた北朝鮮が、終戦宣言に対する論議と立場を内部的には知らせなかったということだ。しかも、先月の韓米合同軍事演習については、キム・ヨジョン労働党中央委副部長とキム・ヨンチョル中央委部長が相次いで談話を出したことに比べると、談話発表者のレベルが相対的に低い。
リ次官はこの談話で「朝鮮半島情勢が一触即発の状況に突き進んでいる中で、紙切れに過ぎない終戦宣言が我々に対する敵視の撤回につながるといういかなる担保もない」とし「朝鮮半島で生産されるすべての問題の根底には、例外なく米国の対朝鮮敵視政策が置かれている」と主張した。また、「米国の軍事的脅威に対処した我々の正当な国防力強化措置は『挑発』と罵倒され、我々を脅かす米国と追従勢力の軍備増強行為は『抑止力確保』と美化される米国式の二重基準(ダブルスタンダード)も、対朝鮮敵視政策の産物」だと付け加えた。
リ次官はまた「我々を取り巻く政治的環境が変わらず、米国の敵視政策が変わらない限り、終戦を何百回宣言しても変わることは一つもない」とし「米国-南朝鮮(韓米)同盟が引き続き強化される中で、終戦宣言は地域の戦略的均衡を破壊し、北と南の果てしない軍拡競争に追い込む残酷な結果だけを招くことになる」と警告した。また「我々はすでに終戦宣言が誰かに与える『配り物』ではなく、情勢変化によって瞬時にちり紙に変わりうるという立場を公に明らかにしている」とし「米国の二重基準と敵視政策の撤回は、朝鮮半島情勢の安定と平和保障で最優先の順位にある」と主張した。
北朝鮮が文大統領の終戦宣言の提案から2日後に出した立場表明には、否定的な発言があふれているが、リ次官が談話の冒頭に「終戦宣言というものは、これまで長期間続いている朝鮮半島の停戦状態を終えることを公開する政治的宣言という点で、象徴的な意味はある」とし「今後、平和保障体系づくりに進むに当たり終戦を宣言することは、一度は話し合わなければならない問題であることは明らかだ」という前提をおいたことは注目に値する。2019年2月のハノイでの朝米首脳会談決裂後、「終戦宣言」の必要性を公に提起しなかった北朝鮮も、依然として終戦宣言の意味を注視していることをほのめかしたとも考えられるからだ。同時に米国の「ダブルスタンダード」と「敵視政策」の撤回を繰り返し要求した脈絡も、終戦宣言を採択するかどうかは米国の態度にかかっているというメッセージを伝えたものと言える。終戦宣言に対する米国の立場は「北朝鮮の反応がカギ」としているものと伝えられる中、最終的に北朝鮮が「終戦宣言は米国にかかっている」と答えたわけだ。