北朝鮮の国防科学院が「9月11日と12日、新たに開発した新型長距離巡航ミサイルの発射実験を実施し、成功した」と、「労働新聞」が13日付2面トップ記事で報じた。
国連安全保障理事会は北朝鮮の「弾道ミサイル技術を利用したいかなる(すべての)発射」を禁止しており、巡航ミサイルの発射実験は国連安保理決議違反ではない。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長は発射実験に立ち会わなかった。相対的に水位を調節した「低レベルの軍事行動」とみられる。
北朝鮮のミサイル発射実験の公開報道は、労働新聞が3月26日付2面トップで「国防科学院は3月25日、新たに開発した新型戦術誘導弾の発射実験を行った」として「短距離弾道ミサイル」の発射実験の事実を報道して以来6カ月ぶりだ。
労働新聞は「発射された長距離巡航ミサイルは、わが国の領土と領海上空で設定された楕円および8の字型飛行軌道に沿って7580秒飛行し、1500キロメートルの先の標的に命中した」と報じた。
労働新聞は「長距離巡航ミサイル開発事業」は「党中央」つまり金正恩総書記の「特別な関心の中で中心的な事業として強く推進されてきた」とし、「(1月5~12日に行われた朝鮮労働)党第8回大会が提示した国防科学発展および兵器体系開発5カ年計画の重点目標達成で大きな意義を持つ戦略兵器」だと明らかにした。さらに「この兵器体系の開発は、わが国の安全をより強固に保障し、敵対的な勢力の反共和国軍事的蠢動を強力に制圧するもう一つの効果的な抑制手段を保有するという戦略的な意義を持つ」と評価した。
労働新聞が報じた射程1500キロメートルは、日本のほとんどの地域まで届く距離で、韓国軍が保有する巡航ミサイル「玄武-C」の射程距離と同じくらいだ。
発射実験には、パク・ジョンチョン労働党政治局常務委員やキム・ジョンシク党軍需工業部副部長、チョン・イルホ国防科学院党委員会委員長らが参観し、金正恩総書記は立ち会わなかった。
労働新聞は「過去2年間の科学的で信頼できる兵器体系の開発工程に基づいて進められてきており、この過程で細部の部分試験と数十回の発動機地上噴出試験、それぞれの飛行実験、操縦誘導実験、戦闘部威力実験などを成果的に終えた」と、今回発射実験を行った巡航ミサイル開発の経過を伝えた。さらに「試験発射を通じて新たに開発したタービン送風式発動機の推進力をはじめとする技術的指標と、ミサイルの飛行操縦性、複合誘導結合方式による末期誘導命中の正確性が設計上の要求をすべて満足させた」とし「総評兵器体系運営の効果性と実用性が優秀に確証された」と報道した。
これに先立ち、金正恩総書記は今年1月9日、労働党第8回大会の事業総和報告で「常用弾頭の威力が世界を圧倒する新型戦術ロケットと、中長距離巡航ミサイルをはじめとする先端核戦術兵器も相次いで開発し、信頼できる軍事技術的な強みを確保した」と明らかにしている。
北朝鮮は、米国のジョー・バイデン大統領就任直後の1月22日と3月21日に巡航ミサイルを、3月25日には弾道ミサイルの発射実験を行ったといわれている。北朝鮮はこのうち、3月25日の弾道ミサイル試験発射のみを労働新聞などを通じて公開し、1月22日と3月21日の巡航ミサイルの試験発射については公開で報道しなかった。