ユン・ソクヨル前検察総長が検察総長として在職していた時期、検察が未来統合党(国民の力の前身)に汎与党陣営の関係者を告発するようそそのかしたという疑惑に対し、最高検察庁と法務部が真相調査に乗り出し素早く対応している。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査も進められる見通しだ。
パク・ボムゲ法務部長官は3日、記者団に対し、ユン検察総長時代の検察によるいわゆる「告発教唆」疑惑について「検察の名誉がかかった事案」だとしたうえで、「できるだけ迅速に真相を調査しなければならない」と述べた。また「この事件は多くの法理検討の必要性があり、法務部が接近可能な範囲内で事実確認が必要だ」とし、「(法務部レベルの)監察が必要かどうか判断するため、監察官室で(関連事案を)検討している」と明らかにした。
この日、最高検察庁監察3課は前日のキム・オス検察総長の指示で、関連疑惑に対する真相調査に入った。本格的な監察に着手する前に、事実関係を把握する段階だというのが最高検察庁側の説明だ。最高検察庁の関係者は「真相調査で明確な容疑が明らかになれば、本格的な監察と強制捜査に切り替わる可能性もある」と述べた。
インターネットメディア「ニュースバース」は、昨年4月のユン前総長在任時に、最高検察庁のソン・ジュンソン捜査情報政策官(現・大邱高検人権保護官)が「検察とマスコミの癒着」疑惑とユン前総長の家族関連疑惑に対応するために、4月15日の総選挙に出馬した未来統合党所属のキム・ウン候補(現・国民の力議員)に汎与党陣営の関係者やジャーナリストらを告発するよう教唆したという疑惑を報じた。
関連疑惑を全面的に否定しているソン・ジュンソン検事は同日、個人的な理由で年次休暇を取って出勤しなかった。最高検察庁監察部は近く、ソン検事に対する対面調査を行うものとみられる。調査過程で、彼の業務用携帯電話やコンピューターの閲覧などを要請することができる。監察部がこの過程で、犯罪容疑があると判断して強制捜査に着手すれば、ユン・ソクヨル前総長も捜査対象になる可能性が高い。
公捜処の捜査も予想される。前・現職検事に対する捜査・起訴権を持つ公捜処は、関連告発があれば必ず事件を検討することになる。市民団体「司法正義を立て直す市民行動」は同日、「ユン前総長とソン検事らを職権乱用と公職選挙法、国家公務員法、個人情報保護法の違反などの疑いで、6日に公捜処に告発する」と発表した。公捜処の関係者は「告発があれば、決められた手続きに従って検討する」と述べた。
法曹界では、公捜処の捜査は避けられないとみている。検事長出身のある弁護士は「明らかになった疑惑だけでも個人情報保護法違反と公務上機密漏洩の疑いを適用できる」とし、「ユン前総長が所属している国民の力の大統領予備選挙まで残り少ない状況で、政治的攻防を避けるため、法務部と最高検察庁の調査だけでなく、告発が行われれば公捜処の捜査もスピーディに進めるだろう」と述べた。