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[社説]ユン検察総長時代の告発教唆疑惑、真相を徹底究明すべき

登録:2021-09-03 09:05 修正:2021-09-04 08:47
開かれた民主党のチェ・ガンウク代表(右から2番目)をはじめとする議員らが今月2日、ソウル汝矣島の国会疎通館でユン・ソクヨル検察総長時代に検察が野党に対し与党関係者の告発をそそのかしたという「ニュースバース」の報道と関連し、記者会見を開いている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 昨年4月、ユン・ソクヨル検察総長時代の検察が、「検察とマスコミの癒着」疑惑とユン総長の夫人関連の疑惑の報道に対応するため、野党の未来統合党(現国民の力)に与党関係者の告発をそそのかしたという疑惑が提起された。

 インターネットメディア「ニュースバース」は2日、昨年4月15日の総選挙直前の4月3日、最高検察庁が検事出身である未来統合党のキム・ウン国会議員候補(現国民の力議員)に、盧武鉉財団のユ・シミン理事長や、開かれた民主党のチェ・ガンウク、ファン・ヒソク比例代表候補などの容疑が記された告発状を手渡したと報じた。当時、最高検察庁のソン・ジュンソン捜査情報政策官がキム候補に渡した告発状は「告発人」が空欄になっており、ユン総長(当時)と妻のキム・ゴンヒ氏、ハン・ドンフン検事長が被害者と記されていたという。告発状にはまた、ユ・シミン理事長、チェ・ガンウク候補、ファン・ヒソク候補が、総選挙に影響を与える目的で、「文化放送」(MBC)の「マスコミと検察の癒着」疑惑の報道と、「ニュース打破」によるキム・ゴンヒ氏のドイツモーターズ株価操作関与疑惑の報道に介入したという内容が書かれていたという。まだ疑惑の段階なので予断は禁物だが、公明正大に法を執行すべき検察が、野党に与党関係者に対する告発をそそのかしたという報道内容には驚きを禁じ得ない。徹底した真相究明が必要だ。

 これまで出た関連者たちの説明に不明な点があるのも疑念を抱かせる。告発状を渡したとされるソン・ジュンソン検事は「告発状を渡した事実はない」と否定したが、告発状を受け取ったとされるキム・ウン議員は「当時、議員室には多くの情報提供があり、情報提供を受けた資料は当然党法律支援団に渡した」と述べた。告発状を受け取ったかどうか、肝心なことには触れていない。キム議員はまた、「政党と国会議員は公益通報の対象で、これに対する公益通報をまるで告発をそそのかされたかのように仕立てているのは公益通報を萎縮させるもので、甚だしく遺憾だ」とも述べたが、いま疑惑の対象になっているのは公益通報ではなく、検察の告発教唆であるという点で、的外れな回答と言わざるを得ない。しかも、キム議員は当時議員でもなく候補だった。

 ユン・ソクヨル陣営は「ユン候補は全く知らないことであり、そのような事実自体がないと聞いている」と発表したが、イ・ジュンソク代表は「告発をそそのかされたかどうかの事実関係が確認されておらず、実際に告発が行われたこともない」と述べた。今回の疑惑は、実際に告発が行われたかどうかは別として、検察が告発を教唆したかどうかが重要であり、イ代表の説明も説得力に欠ける。

 結局、今回の疑惑は事案の性格からして、法務部の監察や高位公職者犯罪捜査処の捜査などによる真相究明が不可欠だ。野党の国民の力も、調査に積極的に協力しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1010271.html韓国語原文入力:2021-09-02 22:29
訳H.J

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