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失言相次ぐユン前検察総長、今度は「福島から放射能流出なかった」

登録:2021-08-06 06:22 修正:2021-08-06 06:54
IAEAも水素爆発を認めたのに 
「原発崩壊ではない」と事実歪曲 
マスコミのインタビュー発言、慌てて削除 
 
脱原発掲げた文政権バッシングするため 
「原発推進派の論理、そのまま受け入れ」との指摘も
「国民の力」のユン・ソクヨル予備大統領候補が今月3日午後、ソウル恩平区恩平甲の党員協議会を訪れ、挨拶の言葉を述べている=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社

 週120時間労働許可や不正食品擁護発言などで物議を醸したユン・ソクヨル前検察総長は、今度は日本の福島原発事故について「原発自体が崩壊したわけではない。基本的に放射能流出はなかった」と述べた事実が明らかになった。

 ユン前総長は4日、「釜山日報」とのインタビューで「原発密集地域の釜山(プサン)や蔚山(ウルサン)、慶尚南道では原発の拡大に対する懸念がある」という記者の指摘に対し、原発の安全を擁護する発言をした後「韓国に入ってくる原発はチェルノブイリとは違う。日本でも福島原発が爆発したわけではない。地震と津波で被害が大きかったが、原発自体が崩壊したわけではない。だから基本的に放射能流出はなかった」と答えた。

 福島原発事故は、2011年に日本の東北部地方で発生した大規模な地震と津波で、日本の福島県所在の原子力発電所で発生した放射能流出事故だ。専門家らは「放射能流出はなかった」というユン前総長の発言は事実と異なると指摘する。エネルギー転換フォーラムのソク・グァンフン専門委員は「福島原発事故は原発内部の炉心が溶融し、水素爆発で屋根が吹き飛ばされたのに、崩壊しなかったというのはどういう意味なのか。 放射能流出の事実は国際原子力機関(IAEA)と日本政府も認めている」と述べた。ユン前総長の同発言は同日午後、インタビュー記事が掲載されてから約4時間後に削除されたが、ネットユーザーがこれを指摘し、波紋が広がった。

 ユン前総長陣営は、発言が縮約される過程で誤解があったと説明した。ユン前総長陣営の関係者は5日、本紙との電話インタビューで「福島原発は設計の安全性が原因ではなく、地震や津波のために被害が生じたことを説明しようとしたが、話を短くまとめるつもりが、そのように伝わった」とし、「韓国は地震や津波の危険が相対的に少なく、設計も良くなったのに、原発はダメと言うのは問題が多いということを指摘しようとした」と釈明した。ユン前総長陣営は同日、公式の立場文を発表し、「電子版に掲載された最初の記事はユン候補の(発言が)意図とは異なる形で反映された。意味が違う方向で伝わったことについては、互いに調整する場合もある」とし、「インタビュー報道の過程を問題視するのは卑劣な政治攻勢だ」と非難した。

 ユン前総長が原発について“失言”をしたのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権に反対する立場を強調するため、原発の安全性と必要性を無批判的に擁護する論理を鵜呑みにした結果という分析もある。先月、ソウル大学原子核工学科、KAISTの原子力専攻学生らに相次いで会い、「性急な脱原発政策は必ず変えなければならない。原子力エネルギーというのは、映画で見るようにそれほど危険なものではない。福島原発事故も日本の地盤に関する問題であって、原発自体の問題ではなかった」と述べた。

 脱原発エネルギー学会長のイ・ピルリョル韓国放送通信大学教授は「原発推進派はいつも『科学者を信じろ』、『安全だ』という。そのような主張を繰り返すだけでは、合理的な討論を行うのは難しい。ユン前総長の発言は彼らの主張をそのまま受け継いだもの」だと指摘した。

チャン・ナレ、チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1006649.html韓国語原文入力: 2021-08-06 02:42
訳H.J

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