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「企業のCEO・役員は女性秘書を置くな」…前ソウル市長の法定代理人の投稿で議論

登録:2021-07-26 00:16 修正:2021-07-26 07:45
パク前ソウル市長の遺族側の法定代理人チョン・チョルスン弁護士のSNS投稿で議論 
女性排除と性差別の観点から出たのが明白な「ペンスルール」
3月17日午前、ソウル中区明洞のホテルで「ソウル市長の威力性暴力事件の被害者とともに語る」の記者会見が開かれた=共同取材団//ハンギョレ新聞社

 「私が諮問するすべての企業のCEOと役員に、女性職員との会食や食事はもちろん、お茶も飲まないよう助言してきたが、故パク・ウォンスン市長の事件後は、女性秘書を始めから置かないよう強く勧告するようになった」

 故パク・ウォンスン前ソウル市長の遺族側の法定代理人であるチョン・チョルスン弁護士が23日、SNSに投稿した文章だ。パク前市長は秘書室の職員を相手にセクハラを犯し、この事実が公開される危機に直面した直後に自殺した。加害者がはっきりと明らかにされ、どのような行為があったのか知られている状況であるにもかかわらず、加害者側の法定代理人は、被害者の性別を性犯罪が起きることになった原因として挙げた。

 チョン弁護士がSNSに投稿した文章は、彼の経験をまとめたものだ。彼は知人の事務室で秘書業務を遂行した女性職員に対する評価とともに、自分が周辺にしてきた“助言”を書いた。助言の内容は「秘書室に女性職員を置くな」ということだが、特別な理由は付け加えておらず、「パク前市長の事件後」からは強く勧告してきたということを明らかにした。

チョン・チョルスン弁護士のフェイスブック画面よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 チョン弁護士の勧告は、性差別的な観点に基づく「ペンスルール」だという指摘が出ている。「ペンスルール」とは、女性の同僚とともに仕事をすると性暴力の問題が生じることがあり得るので、女性の同僚を排除し交流しない行為を意味する。ペンスルールは、米国の政治家のマイク・ペンス氏が2002年の下院時代にあるメディアとのインタビューで「妻ではない他の女性とは絶対に1対1で夕食をとらない」と述べたことから出てきた。

 「ペンスルール」は多くの問題点を抱えている。女性の同僚を性的に対象化し、女性の同僚との交流には性的交流が含まれるという前提がある。職場内の性犯罪や権力型の性犯罪の加害者の行為を根本的に減らし、安全な職場を作ることに役立つ原則ではない。

 ペンスルールの適用は他の差別につながるという点に、最大の問題がある。この社会の組織のほとんどの上層部が男性中心である状況において、職場に「ペンスルール」が適用され女性を排除すれば、女性の採用は減り、女性の昇進などを妨げる「ガラスの天井」がさらに厚くなり得る。2018年のMeToo(私も告発する)運動の最中だった時期、ペンスルールに従うという人が増えた。フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高運営責任者(COO)はその年の2月6日に「(ペンスルールに従うことは)女性が職場で得る機会を減らすことになる。男性の役員や幹部は女性よりはるかに多いので、彼らが女性を避けて排除すれば、女性は被害を受けざるを得ない」という投稿を掲載した。

 ジェンダー政治研究所「女勢連(女性政治勢力民主連帯)」のクォン・スヒョン代表は、チョン・チョルスン弁護士の発言が「セクハラや性暴力の問題の責任を女性に転嫁する手法」だと指摘した。彼女は「女性を同等な人間とみなさず、性的な対象とだけ認識するからできる発言だ。特に、社会で声を大きく出せる人々が先頭に立って女性排除や女性嫌悪を広めるのは、一般大衆にも間違ったメッセージを伝えることになるため危険だ」と述べた。慶煕大学比較文化研究所のソン・ヒジョン学術研究教授は「性別に重点を置き採用差別をしようという女性嫌悪的な主張」であり、「差別禁止法があれば法に抵触するほどの発言をしたもの」だと指摘した。

 批判が続くとチョン弁護士は25日、SNSに文章を投稿した。彼は自分の発言を批判した男性について「詐欺にあわなかったまぬけな人たちは、詐欺の被害者をあざ笑う傾向があるが、そのような印象を受ける」と書いた。

パク・コウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/1005024.html韓国語原文入力:2021-07-25 19:11
訳M.S

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