本文に移動

裁判所「日本、韓国内の財産目録を提出せよ」…「慰安婦」被害者勝訴

登録:2021-06-16 03:33 修正:2021-06-16 07:52
裁判所、強制執行に向けた財産明示申立てを認める 
「対日関係悪化の考慮は司法府の領域を外れる」
2019年8月14日、ソウル鍾路区の在韓日本大使館前の平和路。正義記憶連帯の主催で第1400回日本軍性奴隷制問題の解決のための定期水曜集会と第7回世界日本軍慰安婦メモリアルデー世界連帯集会が開かれた=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 日本政府を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で勝訴判決を勝ち取った日本軍「慰安婦」被害者たちが、賠償金を取り立てるため、韓国にある日本政府所有の財産のリストを確認することを求めた申立てを裁判所が受け入れた。担当法廷は、強制動員被害者の損害賠償請求訴訟で「外交関係への懸念」などを理由として却下判決を下したキム・ヤンホ部長判事とは異なり、このような判決を下し、「強制執行実施後に発生しうる対日関係の悪化(の考慮)は、司法府の領域から外れる」と指摘し、注目を集めている。

 ソウル中央地裁民事51単独のナム・ソンウ判事は15日、故ペ・チュンヒさんら12人の「慰安婦」被害者が提出していた財産明示申立てについて、9日に「『日本は財産状態を明示した財産リストを提出せよ』と決定した」と明らかにした。ペさんらは日本を相手取って1人当たり1億ウォン(約984万円)の賠償を求める損害賠償請求訴訟を起こし、今年1月に一審で勝訴。日本が訴訟に対応しなかったため、判決は確定した。しかし、訴訟そのものを認めない日本政府は賠償金を支払わない可能性が高く、原告は韓国国内にある日本政府の財産を強制執行するという方式で賠償金を取り立てるとし、今年4月に強制執行の前段階に当たる財産明示を申し立てた。

 ナム・ソンウ判事は「日本の行為は国家免除の例外に当たるため、強制執行申立ては適法」と判断した。国家免除(主権免除)とは、一主権国家は他国の裁判所で裁判を受けないという国際法の原則で、日本政府は国家免除論を根拠に被害者の訴訟を認めていなかった。しかし同法廷は「国家によって犯された殺人、強姦、拷問などのような人権に対する重大な侵害行為に対して国家免除を認めれば、国際社会の共同利益が脅かされることになり、むしろ国家間の友好関係を害する結果をもたらす恐れがある」とし、「ある国家が強行規範に違反した場合、その国家は国際共同体が定めた境界を越えたことになるため、その国家に与えられた特権(国家免除)は没収されることが適当」と決定の理由を明らかにした。

 こうした判断は、ソウル中央地裁民事34部(キム・ヤンホ裁判長)が、今年3月に被害者が勝訴した訴訟に関する費用を整理する過程で、国家免除論を根拠として「訴訟費用は日本から取り立てられない」とした決定とは相反する。通常は敗訴した側(日本)が訴訟費用を負担するのが一般的だが、当時の法廷は「国庫による訴訟救助取り立て決定」で、「(被害者勝訴の判決を下した) 本案訴訟は、日本政府の国家免除を認めず原告勝訴の判決を確定した」とし「外国に対する強制執行は、その国の主権と権威を傷つける恐れがあるため、慎重なアプローチが必要だ。訴訟費用は日本から取り立てられない」との判決を下している。このような決定を下した法廷は先日、強制動員被害者とその家族85人が日本企業を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、(2018年10月の)最高裁判所全員合議体の判決に従わず、却下判決を下して物議を醸した。

 一方、財産明示命令を下したナム判事は、強制動員被害者訴訟で却下判決を下した際に「外交関係の毀損」などを理由としてあげたキム・ヤンホ部長判事の判決とは反対の論理を展開し、注目を集めた。ナム判事は「日本に対する強制執行の実施後に発生しうる対日関係の悪化、経済報復などの国家間の緊張関係の発生という問題は、外交権を管轄する行政府固有の領域であり、司法府の領域を外れる」とし「この事件の強制執行申立てが適法かどうかを判断するにあたって、考慮事項から除外し、法理的判断のみを行うことこそ適切」と強調した。

 またナム判事は、損害賠償請求権をめぐってもキム部長判事と判断を異にした。キム部長判事が「強制動員被害者の損害賠償請求権は、韓日請求権協定の対象に含まれている」「被害者たちの強制執行申立ては、ウィーン条約第27条に反する」と判断したのとは異なり、ナム判事は「強制動員された労働者たちの日本企業に対する慰謝料請求権は請求権協定の適用対象に含まれないため訴求できると判断した最高裁判決があり、この事件の被害者の損害賠償請求権の性格は、強制動員労働者たちの損害賠償請求権と異なると考えることはできない」とし「この事件の強制執行申立てはウィーン条約第27条に反すると考えることもできない」と判断した。

シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/999486.html韓国語原文入力:2021-06-15 17:05
訳D.K

関連記事