チョン・ウィヨン外交部長官が大統領府国家安保室長時代、日本軍「慰安婦」被害者問題を解決するため、「極めて現実的な代案」をまとめ、日本側と数回協議を行ったが、「一貫して自分の主張を押し通す」日本側の「交渉態度にかなり驚いた」と明らかにした。
チョン長官は21日午前、ソウルプレスセンターで開かれた寛勲クラブ招請討論会で「文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後、慰安婦被害者問題を解決するためにいかなる努力をしてきたのか」という質問を答える過程でこのように述べた。
チョン長官は2015年の韓日政府間合意の枠組みを壊さずに被害者が受け入れることができる「非常に現実的ないくつかの案を日本側に提示した」と明らかにした。ところが「(韓国側の案を持って)行く度に、『受け入れられない、もっと良い代案を持って来い』と言われた」とし、日本側が「(協議に)少し進展が見られれば、進展したものは受け入れたうえで、『これでは足りない、もっと(良い案を)持って来い』」と要求したと明らかにした。
チョン長官はまた、「安保室長時代、この問題を解決するために何度も非公開で日本に行き、日本の高官と協議を行った。そのたびに非常に現実的な案を提示したが、日本側の交渉態度にかなり驚いた」と述べた。チョン長官は日本側が「一貫して自分の主張を押し通した」とし、これは「交渉する気がないことを示すもの」だと解釈した。また日本政府が「政府間合意を守らない場合は、韓国が国際法に反することになる」という「理屈に合わない主張」を展開し、あちこちで韓国政府を罵倒していると指摘した。「慰安婦」被害者問題の根本原因と基本的な性格を踏まえたうえで、「果たして日本にそのような資格があるのか」と問い返す場面もあった。チョン長官は日本にどのような提案をしたかについては明らかにしなかった。
チョン長官は討論会中、落ち着いて質問に答えていたが、日本側と協議過程を語る際には、多少興奮した様子だった。彼は答弁後「興奮して申し訳ない」としたうえで、「慰安婦問題については言いたいことがたくさんある」と説明した。
チョン長官が、故クァク・イェナムさんやキム・ボクトンさん、「慰安婦」被害者遺族など20人が日本に損害賠償を求めた訴訟の結果を念頭に置いて、このような発言をしたかどうかは確認されていないが、外交部長官が非公開で行われた両国間の協議過程を公開し、相手国の態度を強く批判したのは極めて異例だ。
この発言に先立ち、チョン長官は同日、「最近の歴史問題に関する基本的認識の相違のため、韓日関係があまりにも否定的に映ることを残念に思っており、できるだけ早期に日本の外相に会って、これらの問題を対話によって解決できるのではないか」と期待感をのぞかせた。ただし、「まだ日本はそうする準備ができていないようだ」としたうえで、「日本は最も近い隣国」であり、「朝鮮半島の平和と安定のためには必ず協力しなければならないパートナー」とも述べたが、チョン長官の同日の発言が両国関係の改善に肯定的な影響を及ぼすことはないと見られる。
討論会が終わった後、慰安婦被害者の敗訴に対する立場を尋ねる取材陣の質問に、チョン長官は「報告を受けたばかりだ。詳しく検討してみる必要がある」とし、慎重な態度を示した。