日本がバイデン米政権の「北朝鮮政策の見直し」の結果について、過度に“我田引水”的な見解を出し続けている。2018~2019年の朝鮮半島平和プロセスが挫折した際に“役割を果たした”日本による妨害を事前に遮断するためにも、両国間で虚心坦懐な意思疎通が切実だとみられる。
日本の茂木敏充外相は主要7カ国(G7)外相会談が続いているロンドンで、3日午後(現地時間)に記者会見を開き、この日行われた米日外相会談とG7外相ワーキング・ディナーの結果などを紹介した。茂木外相はその席で「国連安保理決議に従い、北朝鮮の完全な非核化を実現するよう、日米で緊密に連携していくことを再確認した」と明らかにし、ワーキング・ディナーでは自身が議論を主導し、参加国が「北朝鮮による(核を含む)全ての大量破壊兵器およびあらゆる射程の弾道ミサイルのCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)という目標を堅持すること、安保理決議の完全な履行が不可欠であることで意見が一致した」と明らかにした。茂木外相の説明が事実であれば、バイデン政権は今後「CVIDに基づいた北朝鮮非核化」を目標に対北朝鮮交渉を推進しなければならない。しかし、これは米国の真意を歪曲した日本の“我田引水”的な解釈であると推定される。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は先月30日、バイデン政権の「対北朝鮮政策の見直し」が終わったという事実を伝え、米国が追求する目標は北朝鮮の一方的な核放棄を意味する「北朝鮮の非核化」ではなく、非核化された韓国が北朝鮮の非核化を推進していく「朝鮮半島の非核化」(complete denuclearization of Korean Peninsula)だと明らかにした。その後、米国の外交安全保障政策の司令塔であるジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は2日、 ABC放送で米国の対北朝鮮政策が「北朝鮮と敵対するものではない」としながら「朝鮮半島の完全な非核化」を推進すると明らかにした。また、ブリンケン国務長官も3日、ロンドンでの米英外相会談後の記者会見で、米国の目標が「朝鮮半島の完全な非核化」であることを再度強調した。米国務省はこの日、韓米外相会談の結果を説明する資料にも「米韓日の3カ国協力を通じて朝鮮半島の完全な非核化を推進する」と記載した。米国が繰り返し「朝鮮半島の完全な非核化」を追求するとしているにも関わらず、日本が一人で「北朝鮮の非核化」という表現を固守しているわけだ。
北朝鮮が2018年7月に「一方的で強盗的な非核化の要求」(2018年7月7日、北朝鮮外務省報道官談話)という過激な表現で拒否の意向を明確にしたCVIDに対する主張も同じだ。茂木外相は自身がワーキング・ディナーの議論を主導し、CVID方式の非核化を推進することにG7外相の同意を得たと明らかにしたが、それを示すG7レベルの共同文書も米国国務省の発表文も出なかった。参加国が外交的欠礼を避けるために明確には反対の立場を明らかにしなかったことを、自国の記者を対象にした記者会見では「同意」としたのではないかと考えられる。
日本がCVIDについてこのような態度を示したのは、今回が初めてではない。菅義偉首相も先月16日の米日首脳会談を終えた後に臨んだ記者会見で「日米は、(北朝鮮の)すべての大量破壊兵器およびあらゆる射程の弾道ミサイルをCVID方式で破棄させるようにすることで一致した」と述べた。しかし、隣の席のバイデン大統領はこの用語に一切言及せず、両国間に意見の相違が存在することを示した。
実際、米国当局者は対北朝鮮政策の見直し作業が終わったと明らかにした後、機会があるたびに「実用的な北朝鮮に対するアプローチ」を行うと述べている状況だ。米国が北朝鮮に「解決策を求めていこう」と提案しただけに、朝米間での外交の余地を閉ざすCVID方式の非核化に固執しない可能性が高い。