韓国原子力学会は、日本が海に放出しようとしている福島原発の汚染水を「処理水」と規定し、韓国政府に放射能の危険を誇張しないよう主張した。原子力学会が汚染水を処理水と表現したのは、日本政府の主張をそのまま受け入れたことになるため、議論になるものとみられる。
韓国では、政府や地方自治体はもちろん産業界や市民社会でも「汚染水」という表現を用いている。主要な海外メディアも同じだ。トリチウム(三重水素)を含む放射性物質が除去されないまま多く含まれているためだ。原子力学会は原子力工学の専攻者など5000人ほどが会員として参加する学術団体で、ハ・ジェジュ元韓国原子力研究院長が会長を務めている。
韓国原子力学会は26日午後、資料『日本の福島原子力発電所の汚染処理水放出に対する原子力学会の立場』を出した。日本の福島汚染処理水の放出による放射線の影響が「非常に保守的な仮定の下でも微小だと評価された」という内容だ。
同団体は「学会の評価の結果、日本が再浄化せず現在の貯蔵状態そのままで全量を1年間で海に放出したとしても、韓国国民が受ける放射線の被ばく線量は3.5×10のマイナス9乗ミリシーベルト毎年だと予測された。これは、一般人に対する線量限度である1ミリシーベルト毎年の約3億分の1であり、無視できる水準」だと明らかにした。同団体はこのような評価結果を根拠として、政府に「放射能の危険性を誇張し脱原発政策を正当化する口実にするのではなく、政治的・感情的な対応を自制し、科学的な事実に基づき実用的に問題を解決していかなければならない」と述べた。
学会はまた「政治的な目的で助長された放射能への恐怖が、韓国の水産業界と自営業者への被害を助長する自害行為になり得ることを警戒しなければならない」とも述べた。ここのところ全国的に広がった福島原発汚染水の放出に対する懸念が、政治的な目的で助長されたという主張を展開したのだ。学会は過去の狂牛病や鳥インフルエンザ問題を「科学的事実を無視した政治的扇動」の事例に挙げただけで、汚染水に対する懸念が政治的に助長されたものであることを示す具体的な根拠は提示しなかった。
原子力学会は日本政府に対しては「福島汚染処理水の放出により周辺国の国民が受けることになる心理的な苦痛と物理的な被害に対し深く謝罪し、周辺国を気配りする姿勢を持たなければならない」と述べた。