文在寅(ムン・ジェイン)大統領が発するメッセージの語法と表現が変わった。韓国土地住宅公社(LH)職員による第3期新都市への投機疑惑が浮上して以来、目立つ現象だ。今月3日から休日を除いて8日連続でメッセージを発表しているのも極めて異例。「抜本塞源」「不動産積弊清算」などの表現も強硬だ。ピョン・チャンフム国土交通部長官も就任からわずか74日で更迭した。普段の問責人事を嫌う人事スタイルとは、はっきりとした違いが見られる。
文大統領は、第3期新都市への投機に関して国土交通部、LH、関係公共機関など新規宅地開発に関連する部署の勤務者らの全数調査を3日に指示してからというもの、ほぼ毎日「LH」について言及している。「新都市投機疑惑を抜本塞源」(4日)、「国が持つ行政力とあらゆる捜査力を総動員」(8日)、「不動産積弊清算」(12日)など、メッセージの表現も強硬なものとなっている。ピョン長官の辞意受け入れは事実上、文在寅政権で初の「更迭的人事」と言ってもよい。慶煕大学未来文明院のアン・ビョンジン教授は14日、本紙の電話取材に対し、「決断力が足りないと感じられるほど人事に慎重なスタイルである文大統領ですらも、不動産問題は大衆の『逆鱗』に触れる敏感な問題と判断したもの」と述べた。
野党「国民の力」が慶尚南道梁山(ヤンサン)の私邸の用途変更手続き問題を提起したことに対し、文大統領が12日に自身のフェイスブックに書き込んだ言葉も、波紋を呼んでいる。特に「選挙の時期だから理解はするが、もうやめていただきたい。度量が狭く、恥ずかしいこと」という表現をめぐっては、「文大統領らしくない」という指摘が相次いでいる。文大統領は以前に梁山の私邸用地購入が非難を受けた際には、反論せずに放置した。しかし、農地を購入後に用途変更を行ったことが「LH手法」と野党に攻撃されると、これ以上我慢できないと判断したという。この文面は文大統領が自ら作成したという。
しかし、与党議員や大統領府の参謀陣ではなく、文大統領が自ら野党の攻撃に対応することは適切でないという批判が出ている。政治コンサルティング「ミン」のパク・ソンミン代表は、「大統領自身の問題に怒りを表出したことや、野党が問題を提起したことに対して直ちに自ら反論することは、メッセージを伝えるという面からは良くない。大統領府の政務機能に問題があるようだ」と述べた。龍仁大学のチェ・チャンニョル教授は「大統領が自ら『度量が狭い』と野党を批判するのは、政争の真っ只中にプレーヤーとして飛び込むこと」とし「与党に対する反感が拡散することに危機意識を感じ、気づかぬうちに敏感に反応している」と述べた。
文大統領のメッセージのスタイルが変わった理由について、専門家は「焦り」のためと分析する。政権担当期間中、絶えず最大の脅威だった不動産問題が、結局は任期末まで足を引っ張っていることに対する戸惑いも見え隠れする。アン・ビョンジン教授は「国民の実質的な生活に直結するLH問題は、政権の最も弱い部分」とし「レームダックに陥る状況を収拾するには、大衆が考える水準を超える議題を提示しなければならないが、可能かどうかは分からない」と述べた。チェ・チャンニョル教授も「ソウル市長補欠選挙で勝てば状況管理の機会が生じるだろうが、民意がとにかく悪化している状況なので容易ではないと思う」と述べた。
14日、世論調査会社「STI」は、12~13日に実施したソウル居住の有権者1000人を対象とした調査(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)の結果を発表した。それによると、野党候補として国民の力のオ・セフン候補と国民の党のアン・チョルス候補のうち、どちらが出馬しても、民主党のパク・ヨンソン候補を20ポイント前後リードするとの結果となった。LH投機疑惑がソウル市長選挙に影響を及ぼすと思うかという問いに対しては、75.4%が「影響を及ぼすだろう」と答えた。