新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による二酸化炭素排出の減少量が、第2次世界大戦時より2倍多いことが分かった。
中国・米国・ドイツの研究チームなど国際共同研究チームは22日、世界各国のリアルタイムデータを収集し、COVID-19による二酸化炭素排出削減量を分析した結果、今年上半期中に排出された二酸化炭素量が前年同期に比べ16億トンCO2(二酸化炭素換算トン)減少したと発表した。これは1900年以後、二酸化炭素排出が最も急減した第2次世界大戦時の8億トンCO2の2倍に達する規模だ。
同研究チームは国際研究グループ「カーボンモニター」を通じて、世界31カ国の電力生産の日別資料と416都市の日別交通量、62カ国の日別航空利用客数と飛行距離、月間産業生産資料、206カ国の住居冷暖房燃料費および商業用ビル排出量などのデータを収集し、分析した。中国清華大学兼米ハーバード大学のZhu Liu教授は「今回の研究がこれまでの研究と異なる点は、各国の資料をほぼリアルタイムで精密に収集したということ」と述べた。
昨年に比べ、今年6月までの全体の二酸化炭素排出量は8.8%、15億5100万トンCO2が減少したことが分かった。この削減規模は2008~2009年の金融危機の時よりはるかに大きく、第2次世界大戦が終わった1945年に前年より7億9000万トンCO2が減った時に比べると2倍を超える。
論文発表後の「カーボンモニター」の資料によると、1~8月の二酸化炭素排出量は2019年に比べて14億8150万トンCO2(-6.52%)減ったことが明らかになり、減少幅が多少縮小したことが分かった。中国の経済活動がほぼ回復し、世界の他の国々も封鎖政策を緩和したことによるものと読み取れる。
「封鎖令」で4月に減少幅が最大、16.9%
米国・欧州・インド・中国・日本の順に多い
陸上交通部門で全体の40%減少
「個人行動よりエネルギーシステムを変えるべき」
4月が最も大幅に減少
今年上半期の一日平均二酸化炭素排出量(8840万トンCO2)も2019年の同期間(9820万トンCO2)より10%程度少なかった。一日平均排出量の最大の減少は、COVID-19による世界的封鎖が実施された4月(-16.9%)に発生した。一日平均二酸化炭素排出量は、中国の場合は2月の春節に、インドは春のホーリー祭、米国と欧州はクリスマス(2019年)の時に大幅に減少することが分かった。
しかし、その後封鎖が緩和されたことで、6月の電力部門は2019年に比べ1.1%の減少で、4月(-9.7%)に比べて大きく回復した。一方、6月の陸上交通部門の減少率は15.2%で、4月(-38.6%)と5月(-32.6%)と比べた回復傾向が相対的に鈍化した。
米国が最大規模の減少
世界の主要地域で二酸化炭素排出量が最も多く減ったのは米国で、6月までに昨年と比べ3億3830トンCO2(13.3%)減少した。欧州連合27カ国と英国(-2億570万トンCO2、-12.7%)が続き、インド(-2億520万トンCO2、-15.4%)、中国(-1億8720万トンCO2、-3.7%)、日本(-4310万トンCO2、-7.5%)、ロシア(-4050万トンCO2、-5.3%)、ブラジル(-2590万トンCO2、-12.0%)の順となった。
中国は年初、COVID-19による封鎖で二酸化炭素排出が急減したが、3月に入って封鎖が緩和され、急激に回復した。1月は前年比18.4%まで減り、減少傾向が3月まで続いたが、4月からはかえって増加に転じ、5月は5.4%増加した。
他の国々もCOVID-19による封鎖が徐々に解かれ、5月に比べて6月の減少幅が大きく緩和する傾向を見せた。
陸上交通が総減少量の40%を占める
二酸化炭素排出量の減少は主に陸上交通(-18.9%)と国内(-35.8%)および国際(-52.4%)航空部門で発生した。排出量の減少が最も大きい部門は陸上交通で、全体の40%に当たる6億1330万トンCO2が減少した。次が電力生産部門(-3億4140万トンCO2、-22%)、産業部門(-2億6350万トンCO2、-17%)の順となった。航空部門(-2億80万トンCO2、-13%)、海上交通(-8910万トンCO2、-6%)、住宅部門(-4250万トンCO2、-3%)などは相対的に減少量が少なかった。
論文共著者である独ポツダム気候影響研究所のハンス・J・シェルンフーバー所長は「二酸化炭素はかつてないほど減ったが、人々の活動を減らすことは答えではない」とし「エネルギー生産と消費システムにおける前向きで構造的な変化が必要だ」と述べた。「個人の行動は確かに重要だが、集中すべきなのは世界経済のカーボン依存度を減らすことだ」と強調した。