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「帰宅は朝5時」宅配労働者また死亡…今年だけで10人め

登録:2020-10-19 02:29 修正:2020-10-19 20:59
韓進宅配東大門支社の30代の労働者が死亡 
今年、過労死と推定される宅配労働者が10人も
宅配労働者過労死対策委員会が17日午後、乙支路入口でCJ大韓通運糾弾大会を行った後、今年死亡した5人の宅配労働者の遺影を掲げて追悼行進を行っている。配送中に死亡した故キム・ウォンジョンさんの遺族と市民社会団体の代表らが参加した/聯合ニュース

 長時間勤務に苦しんでいたと推定される宅配労働者が12日に死亡していた事実が、遅れてまたもや明らかになった。今月だけで3人の宅配労働者が死亡したことになる。コロナ禍の長期化と秋夕(チュソク。旧暦8月15日の節日)連休の繁忙期が重なり、殺人的な労働強度に耐えている宅配労働者の健康権を守るため、宅配の「分類作業」に対する増援など、特段の措置が必要だという声が高まっている。

 18日、韓進宅配便と宅配連帯労組の話を総合すると、韓進宅配のソウル東大門(トンデムン)支社で宅配ドライバーとして働いていたKさん(36)が今月12日、自宅で遺体で発見された。その日、仕事に出て来なかったKさんの自宅を同僚たちが訪ね、亡くなっているKさんを発見したという。遺族と労組は、Kさんの死を「過労死」とみている。過労死した他の宅配労働者のように、Kさんの死因は心血管系疾患だったうえ、Kさんが生前、朝までの仕事が続き、疲労を訴えていたという証言が出ているからだ。

 同日に「宅配労働者過労死対策委員会」が公開した内容によると、故人は8日午前4時28分に、会社の同僚に「今日420個を持って出て、今帰るところです。…家に帰ったら5時、ごはんを食べてシャワーして、すぐターミナルに行ったら、一睡もできずに出て行ってターミナルでまた荷物を整理しなければなりません。…とてもきついです」というメッセージをカカオトークで送っている。故人は「16番地(の荷物)を受け取らないようにしたい」「昨日も午前2時に家に着いた」と訴え、こうした強度の労働が少なくとも数日は続いていたとみられる。労組側は「韓進宅配は1人の労働者が担当している区域が広く、同じ量でもCJ大韓通運などの他の宅配会社より労働強度が倍は強い」と主張した。

宅配労働者過労死対策委員会が18日に公開した韓進宅配のドライバーKさんのカカオトーク//ハンギョレ新聞社

 しかし韓進宅配は「国科捜(国立科学捜査研究院)による解剖の結果、故人は持病で死亡したと判定された。故人は普段、他の宅配ドライバーより少なめの200個前後の荷物を担当していた」と主張した。ただし、カカオトークを送った8日に故人が預かっていた取扱量については「300件あまりと把握している」と述べた。カカオトークの内容とは違うものの、故人の仕事が普段より多かった可能性を認めたかたちだ。また、共に民主党のヤン・イ・ウォニョン議員が勤労福祉公団に確認した結果、故人は韓進宅配の当該代理店で1年3カ月間にわたり働いていたにもかかわらず、入職申告がなされていないため労災保険に加入していないなど、死角地帯に置かれながら働いていたことが分かった。

 これで、過労死と推定される宅配労働者は今年に入って実に10人にのぼる。今月8日に、CJ大韓通運の宅配ドライバーとして働いていた40代の労働者が配送業務中に死亡したのに続き、12日には慶尚北道漆谷(チルゴク)のクーパン物流センターで分類作業を行っていた20代の日雇い労働者が、勤務後に死亡している。「仕事と健康」のハン・イニム事務処長は「秋夕連休後に、すでに3人が死亡しているが、今後さらにどのような悲劇が起きるか分からない。法・制度的な代案は中長期的に用意するにしても、宅配運転手たちが毎日6~7時間の『無償労働』を提供している『分類作業』に対する増援が直ちに必要。また、当面は土曜日配送を行わないことも積極的に検討する必要がある」と述べた。政府は、秋夕連休の繁忙期に、宅配業界に対して支援人材を十分に投入するよう指示しているが、現場ではまともに実施されなかったという批判が出ており、政府への不信が高まっているのが現状だ。上下車作業に人材が投入されただけで、当初約束されていた分類作業に対する増援はほとんどなされていないというのが労組側の主張だ。

チェ・ウォンヒョン、キム・ギョンナク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/966245.html韓国語原文入力:2020-10-18 19:59
訳D.K

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