文在寅(ムン・ジェイン)大統領は8日、終戦宣言の必要性を再度強調した。先月の国連総会の映像演説で終戦宣言に言及して以来15日ぶりとなる。海洋水産部公務員殺害事件とマイク・ポンペオ米国務長官の訪韓保留という悪材料はあるものの、朝鮮半島平和プロセスは中断なく推進するとの意志を明かしたもの。
文大統領はこの日、韓米の交流促進を目的とした非営利団体「コリア・ソサエティ」の年次晩餐会の映像での基調演説で「終戦宣言こそ朝鮮半島の平和の始まりであり、朝鮮半島の恒久的平和のみが参戦勇士の犠牲と献身に真に報いる道」とし「終戦宣言に向けて両国が協力し、国際社会の積極的な参加を促すことになることを希望する」と述べた。文大統領は先月22日の国連総会における映像演説で「終戦宣言こそ、朝鮮半島における非核化、そして恒久的平和体制の道を開く扉となる」と述べている。国連演説が国際社会の指導者に向けたものだったとすれば、今回は韓国に対し友好的な米国の人々に終戦宣言に対する支持を訴えたかたちだ。
文大統領はこの日の演説で「苦労して成し遂げてきた進展と成果を後戻りさせることはできず、目的地を変えることもできない」と強調した。先月起きた海水部公務員殺害事件のため北朝鮮に対する世論が悪化するとともに、ポンペオ米国務長官の訪韓が取り消されたことで、米大統領選前の南北関係改善の余地が狭まっているものの、「対話を通じた南北関係の改善」という基調には変わりがないということを重ねて強調したもの。文大統領がこのような演説を行ったのは、最近、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と親書を交わし、関係改善の可能性を模索していたということも作用したようだ。両首脳は先月、新型コロナと水害の克服を心配し、互いを激励する親書を交換している。
文大統領のこの日の演説に対し、野党「国民の力」のユン・ヒソク報道担当は「北朝鮮、平和、終戦に対する大統領の底知れぬ執着に、悲しみ以上に恐怖さえ感じる」と論評した。