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[記者手帳]義理を重視する菅首相、なぜ韓国に冷たいのか

登録:2020-09-23 05:13 修正:2020-09-23 07:11
日本の菅義偉首相が20日夜、東京の官邸で取材陣に会い、米国のドナルド・トランプ大統領と初めて電話会談した内容を説明している。彼はトランプ大統領が日米同盟強化に共感し「必要ならば24時間いつでも連絡して欲しい」と語ったと述べた=東京/ロイター・聯合ニュース

 「45年前、地縁も血縁もないこの横浜で、政治の世界に飛び込んでたどり着いたのが、小此木先生の事務所でした」

 「敬老の日」の21日を迎え、日本の菅義偉首相が訪問した所は、彼の恩人である小此木彦三郎元建設相の墓所だった。菅首相は1975年、小此木元大臣の秘書として11年働いた後、横浜市議会議員を経て、1996年に衆議院進出を果たすことができた。これまでの年月に対する感慨が格別に感じられたのか、緻密で冷たい「仕事の虫」として知られる菅首相にしては珍しく、この日は声が湿っていた。彼は記者団の前で「国民のために『働く内閣』として期待に応えられるよう、頑張りたい」と述べた。

 菅首相の16日の就任を機に大統領府は「いつでも向かい合って対話し、コミュニケーションを取る準備ができている。日本側の前向きな反応を期待している」と関係改善に対する期待感をにじませたが、日本政府の反応はぱっとしない。菅首相は20日夜、即席の記者会見を行い、米国のドナルド・トランプ大統領とオーストラリアのスコット・モリソン首相と電話会談を行なったと発表したが、「基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国」である文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談はまだ行われないでいる。19日に送った祝いの書簡に対する返信で「難しい問題を克服し、未来志向的な両国関係を築いていきたい」という原則論に言及しただけだった。安倍晋三前首相の政策を継承すると明らかにしてきた菅首相が、韓日関係の改善に乗り出すことにためらっていることを示している。

 冷徹な現実論者だが義理と人情を重視する菅首相が、韓国に対し否定的な認識を持つようになった決定的な契機は、日本軍「慰安婦」問題解決のための12・28合意に対する韓国政府の対応だという。菅首相は日本の保守の感情を代弁する月刊誌『文藝春秋』最新号のインタビューで「日韓両政府は2015年末、慰安婦問題の『最終的かつ不可逆な解決』で合意した。韓国側が合意を覆す可能性もゼロではなかった。もっとも、これほど早く関係がおかしくなるとは思わなかった」と述べた。菅首相は特にこの合意の韓国側の責任者だったイ・ビョンギ元駐日韓国大使(元大統領府秘書室長)が、その後多くの困難に見舞われたことに強いショックを受けたという。就任後の忙しい日程にも関わらず時間を割き、小此木氏の墓所を訪れ感慨にふけるように、縁を重要視する菅首相の性格がわかる一面だ。

 現在、韓日の間には絡まっている複雑な懸案があまりにも多く、一気に関係改善を試みるのは容易ではない状況だ。そのため、余裕はあるが粘り強い態度で関係改善を試みなければならないとみられる。政府は昨年には8・15談話と大統領特使などを通じて関係改善の誠意を示したが、日本の反応がなかったという理由で、わずか1週間後の22日に韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長中断を宣言した。しかし、わずか3カ月でこの決定を翻さなければならなかった。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/963168.html韓国語原文入力:2020-09-22 15:46
訳M.S

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