カン・ギョンファ外交部長官が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が全世界に広がった今年2月末以降初めて1泊3日の海外出張に出て、その背景に関心が集まっている。
10日、外交部によると、カン長官は9日昼に仁川国際空港を出発し、10日にドイツのベルリンでハイコ・マース外相と第2回韓独外相戦略対話に出席した。会談を終えたカン長官は11日午後に帰国する予定だ。韓国とドイツの間に対面外交を要する緊急の課題がないことから、1泊3日という強行日程で進められる今回の訪問は極めて異例だ。
このため、カン長官がドナルド・トランプ米大統領が提案した「韓国を含む主要7カ国(G7)会議の枠組みの拡大」方針に反対するドイツを直接説得するため、ドイツを訪問したという見方が有力視されている。マース外相は先月末、ドイツ国内メディアとのインタビューで、「(現在の)G7とG20は非常にきめ細やかに調整されたフォーマットである。我々は(G7にロシアや韓国などを加えた)G11あるいはG12を必要としない」と述べた。当時、ドイツがG7の枠組み拡大に反対した名目は、2014年3月にウクライナ事態を起こし、クリミア半島を武力で合併したロシアを排除すべきということだった。
アンゲラ・メルケル首相は2018年以降、国防費拡大問題などを巡り北大西洋条約機構(NATO)同盟国を軽視するトランプ大統領と鋭く対立してきた。特に、先月末トランプ大統領が駐独米軍1万2千人の削減を決定し、関係が大きく悪化した状態だ。外信は、米大統領選挙を控えて政治上の功績の広報や「中国包囲網」の構築にG7首脳会議を活用しようとするトランプ大統領に、メルケル首相が反発していると報道した。新型コロナ危機の中で行われたカン長官の強行軍の外交が、期待するほどの成果を得られにくいだろうとみられるのは、そのような背景からだ。