ソウル梨泰院(イテウォン)のクラブに端を発する新型コロナウイルス感染が4次感染に広がっているが、新規感染者の増加傾向はおさまりつつある。韓国政府は今後も「生活の中の距離措置」を引き続き維持する一方、宗教施設や学習塾、カラオケ、飲み屋など、感染の可能性が高い高危険施設に対する防疫指針には強制力を持たせる方針だ。また、無症状の若者層の潜在的感染可能性を確認するため、18日から入隊する将兵全員にCOVID-19検査を実施する。
パク・ヌンフ中央災害安全対策本部(中対本)第1次長は17日、定例ブリーフィングで「梨泰院から始まった集団感染が地域社会の多数の施設と集団で新たな感染拡大を引き起こしたが、幸いにも急激な拡大現象は現れず、感染者発生の推移が安定化している」としたうえで、「生活の中の距離措置を維持するのが妥当だというのが政府の判断」だと述べた。梨泰院のクラブ関連の新規感染者数は、16日と17日0時現在でそれぞれ6人と5人で、2日連続で1桁を維持した。ただし、防疫当局は梨泰院のクラブ関連の4次感染事例が2件に増えたことに注目し、緊張を緩めずにいる。チョン・ウンギョン中央防疫対策本部(防対本)本部長は「クラブへの直接訪問者は潜伏期が過ぎており、最近は家や大衆利用施設での接触による2次~4次感染者の数が増えている」と述べた。前日、初の4次感染と防疫当局が確認したソウル拘置所の刑務官は、3次感染が起きた道峰区(トボング)のカラオケボックスで感染した知人と結婚式場に行ってきたことが分かった。さらに、弘益大学の飲み屋を訪れた江西区(カンソグ)の感染者より感染した同僚の娘も、4次感染者であることが確認された。同日正午基準で、梨泰院のクラブ関連の累積感染者は168人に達する。このうちクラブ訪問者は89人、家族・知人など接触者が感染した事例が79人だ。
防疫当局は、追加感染者が発生しているカラオケなど、若者がよく行く場所を注視している。現在、COVID-19感染者が現れ防疫当局が調査しているカラオケは、麻浦区(マポグ)の「ロックヒュー・コインカラオケ」と道峰区の「歌王コインカラオケ」、冠岳区(クァナック)の「ビョルビョル・コインカラオケ」だ。チョン本部長は「ワンコインカラオケは部屋が狭く、密集しており、歌い終わって出る際に廊下の共用空間を通じて換気するため、部屋の中にあった飛沫が廊下に広がって周辺を感染させた可能性がある」と説明した。これを受け、中対本は「危険度による評価を通じて、高危険施設には勧告的な性格ではなく強制力を持たせられるよう指針を補完する」とし、「情報通信技術(ICT)を活用し、訪問者リストの正確性を高める案も用意する」計画も示した。
防疫当局は、多くが20代である入隊者を対象に、18日からCOVID-19検査も実施する。5人の検体をまとめて一度に検査する「集合検査法」を採用し、今後8週間で毎週約6300人を対象に検査を実施する計画だ。チョン本部長は「20代は(COVID-19の)発病率が非常に高い年齢であり、軍部隊は集団生活の中で身体接触の多い訓練を受ける場所であるため、患者が1~2人発生した場合、集団発病につながる可能性がある」と説明した。さらに「COVID-19は軽症か無症状でも陽性率がかなり高いことが特徴だが、そのようなケースは20代が多数を占めている」とし、「現在防対本が運営している感染申告システムや監視システムは、症状が現れて医療機関を訪問しない限り診断されないシステムになっており、限界がかなりある」と強調した。