民主党、生徒の自主性を育てることに焦点
「奨学金制度の改善・学資金利引下げ」
統合党、教室・生徒の政治汚染を懸念
転校請願権・青年文化パスを約束
正義党、生徒人権法など公約充実
国民の党、青少年性犯罪の処罰を強化
改正選挙法により、今回の4月15日の総選挙を皮切りに18歳の有権者が新たに投票場に出ることになる。この“新人有権者”たちを迎える政界の準備は、非常に緩い方だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で事実上すべての選挙運動が中断されているうえに、巨大政党が比例用の衛星政党問題ばかりに没頭しているせいも大きい。
しかし、新人有権者の票心を軽く考えると痛い目にあう可能性もある。ハンギョレが首都圏122の選挙区の18歳の有権者(2020年1月現在)数を全数調査した結果、先の第20代総選挙で1位と2位を分けた票差よりも18歳の有権者数の方が多い選挙区は11カ所にのぼるという分析が出た。例えば、京畿道南楊州市(ナミャンジュシ)甲選挙区の場合、先の第20代総選挙で共に民主党のチョ・ウンチョン議員は、2位のセヌリ党のシム・チャンス候補に249票の差で勝利した。同選挙区に新たに編入された18歳の有権者は2505人だ。仁川延寿区(ヨンスグ)甲や京畿道安山市常緑区(アンサンシ・サンロクク)乙も同様だ。第20代総選挙で、パク・チャンデ民主党議員は214票差で、キム・チョルミン民主党議員は399票差で辛くも勝った。同選挙区に新たに編入された18歳の有権者はそれぞれ1615人、1844人にのぼる。京畿道高陽市(コヤンシ)乙、京畿道軍浦市(グンポシ)乙、ソウル市冠岳区(クァンアクク)乙、ソウル市冠岳甲、仁川市中区・東区・江華郡・甕津区(チュング・トング・カンファグン・オンジング)、京畿道安養市東安区(アニャンシ・ドンアング)乙、京畿道広州市(クァンジュシ)甲、ソウル市銅雀区(トンジャクク)甲地域も、少なくとも数百票差で当落が分かれた地域で、18歳の有権者の数がこれよりも多い。このほか、第20代総選挙で1~2位の票差に比べて18歳の有権者数が50%を超える選挙区も首都圏だけで16カ所もあることが分かった。
18歳の有権者は全国的に55万人余り(全体有権者の1.2%)の水準だが、薄氷の勝負が繰り広げられる可能性の高い首都圏では、彼らの票心が当落を左右しうる。直前の選挙まで一番若い有権者だった19歳の投票率が徐々に増えたという点も注目すべき点だ。選挙管理委員会の資料によると、19歳の有権者の総選挙投票率は、第18代33.2%から第19代47.2%、第20代53.6%へと上がっている。大統領選挙も第17代54.2%、第18代74.0%、第19代77.7%だった。
しかし、当の個別候補者や政党は、彼らの票心については十分に分かっていないようだ。彼らを狙った公約も、従来の若者公約を繰り返すレベルに止まっている。22日基準で主要政党が打ち出している18歳有権者または若者に関する公約を取り上げてみる。
■民主党「大学入試制度の法制化」
共に民主党は、大学入試制度と生徒の自主性拡大などを中心に公約をまとめた。最も関心が高い大学入試制度の場合、ソウルの主要大学に定時(入学試験の結果のみで合否を決める方式)中心の選考の割合を40%以上に拡大、学生簿(内申)総合選考の大幅改善(非教科領域の縮小)などを掲げた。大学入学制度を法律に具体的に明示し、制度の安定性を高めるという計画も明らかにした。
国家奨学金制度も大幅に見直すことにした。所得基準を実際の世帯員数の基準に変え、成績基準は緩和するか廃止する計画だ。学資金融資金利は韓国銀行の基準金利水準に引き下げることを明らかにした。学校自治の実現に向け、学校運営委員会に生徒を参加させ、生徒会を法制化する案も推進する。
■統合党「転校請願権を導入」
未来統合党は「学校の空間を『勉強の聖域』として守り抜く」という公約を打ち出した。党の「2020希望公約開発団」は「民主党が何の準備もなしに選挙年齢を18歳に下げ、選挙運動を許可したため、教室が政治に汚染され、生徒の選挙法違反と一部の教師の偏向教育が懸念される」とし、転校請願権の導入▽政治的中立性を損ねた教員の懲戒と教壇からの排除▽学制改編の推進を公約した。卒業年齢を繰り上げて高校卒業後の投票権を行使できるようにするということだ。その他にも、定時を50%に拡大▽インフルエンザの国家予防接種を高校3年生まで拡大実施▽生徒の健康検診を4回から8回に拡大▽18~24歳の若者対象の鉄道と観光パスを特化した「青年文化パス」▽児童性犯罪者への処罰加重などの公約もある。
■正義党、18歳の共同選対委員長任命
正義党は「18歳の有権者」の票獲得に最も積極的に取り組んでいる。正義党は11日、中央選挙対策委員会を発足させ、共同選挙対策委員長13人のうち1人に18歳のキム・チャヌ青少年特別委員会副委員長を任命した。
青少年公約も厚く提示した。選挙権年齢16歳、被選挙権年齢18歳に引き下げ、生徒人権法を制定し生徒関連規定を論議する際に学校が必ず生徒を参加させると約束した。特性化高校の生徒たちの現場実習手当てを改善するなど、労働人権保障策も打ち出した。この他に、オーガニック学校給食、学内夜間プログラムの制限、青少年の無償生理用ナプキン支給、40年以上の老朽化学校の現代化、1クラス当たりの生徒20人、修学能力試験(入試)の絶対評価の拡大、定時と随時(内申点やその他活動などを中心に見て入学合否を決める方式)の統合などを公約した。
■国民の党「青少年対象の性犯罪処罰を強化」
国民党は児童・青少年を対象にした性犯罪防止に焦点を合わせた公約を数多く出した。「青少年性売買チャットルーム」を開設し、接続した人を捜査対象に入れるというおとり捜査を許容すると公約した。青少年を対象に親交を深め、心理的に掌握した後に行われる「グルーミング性暴力」防止のため、▽特別な理由なく児童にプレゼントや金を渡す行為▽親の同意なしに未成年者と成年が会う行為を処罰する内容も含まれた。