新型コロナウイルス(COVID-19)が初めて発病した中国湖北省の武漢地域付近に暮らしていた在外韓国人が、先月31日から都合3回にわたりチャーター機に乗り韓国に戻ったが、帰国を放棄して武漢にとどまり在外同胞の健康を見守っている韓国人医師がいる。武漢の韓中合作病院で働くイ・サンギ院長(50)だ。
イ院長は、新型コロナ死亡者が続出している25日現在も武漢にとどまり、在外韓国同胞の診療を続けている。当初、彼は12日に武漢の天河空港から金浦(キンポ)空港に向け出発したチャーター機第3便への搭乗を申し込んでいたが、結局チャーター機には乗らなかった。100人余りの在外同胞と領事が武漢に残るという話を聞いたためだ。彼は当初、武漢総領事館の一部の空間を借りて、在外同胞を専門担当する診療所を運営する計画だったが、武漢当局による市民自宅隔離措置により、自宅に留まり画像対話や電話で毎日在外同胞を遠隔診療している。
イ院長はこの日、ハンギョレに「医師として当然のことをしただけ」という言葉を伝えた。彼は微信(WeChat)対話で「在外同胞も領事館もそろって撤収すると思った。ところがまだ湖北省武漢地域に多くの在外同胞が残っていらっしゃるということが分かった。しかも医師は私一人しかいない」として「私が武漢に残ることによって在外同胞の方々に少しでも精神的安定を差し上げられるのではないかと考えて、武漢に残ることにした」と明らかにした。イ院長はさらに「当然医師としてすべきことをしたまでだ。対外的に知らせるほどのことでもない」と話した。