新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の震源地である中国武漢で、感染症患者たちが治療も受けられずにほぼ放置されているという内容を自発的に取材して告発していた2人の市民ジャーナリストが、相次いで失踪したという。武漢一帯の悲惨な実情が知られるのを防ぐため、現地当局が彼らを拘禁または隔離したのではないかという疑惑が提起されている。
昨年12月に発生したCOVID-19が早期に制圧されず全世界に拡散したのは、初期に中国の中央・地方政府が全面公開せず、感染症発生の事実を隠ぺい・矮小化しようとしたためだということは、すでに何度も指摘されている事実だ。それでも依然として中国政府は「情報統制」の誘惑にはまっているのではないかと懸念する。
武漢で繊維業に従事していた方斌(Fan Bing)という市民は、COVID-19が発生すると、患者たちが病院の廊下にまで溢れている劣悪な医療の実態などを取材してオンライン上にアップし、大きな反響を呼んだ。しかしパン氏は先日、私服警察に逮捕され、連絡が途絶えたという。また、弁護士の陳秋実(Chen Qiushi)氏は先月、武漢が封鎖されると、すぐ武漢に入り、医療設備や人手が不足する病院を訪ね歩き、まともに治療を受けられずに死んでゆく人々の姿を取材し、オンラインを通じて世界に伝えた人物だ。チョン氏も6日に当局に逮捕されたという。
中国当局は陳秋実氏らがCOVID-19に感染したため隔離されたと釈明したが、これをそのまま受け取るのは難しい。連絡が突然途絶えていることや、家族がオンラインで彼らの失踪を伝え、助けてほしいと訴えていることなどから、「報道統制」目的で逮捕された可能性が高い。
中国政府は昨年末、医師の李文亮氏が感染症発生のニュースを初めてオンラインで公開した際、「デマ」として無視し、初期に事態を解決しうる「ゴールデンタイム」を逃した。今回、同じ過ちを繰り返さないことを望む。市民ジャーナリストの活動を統制し、自由な情報の流通を阻止する行為がこれ以上あってはならない。