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「COVID‐19」拡散発火点「新天地」ってどんな教団?

登録:2020-02-22 03:02 修正:2020-02-25 07:42
1984年にイ・マンヒ総会長が設立…「信徒30万」主張 
入信には6カ月の聖書教育と試験 
プロテスタント「既存の教会から信者引き抜き」

 大邱(テグ)のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡散の震源地とされる大邱タダイ支派教会は、いわゆる「新天地」の全国12の支派のうち、大邱・慶尚北道地域を管轄する教会だ。「新天地」は宗教界では既に知らない人がほとんどいないほど広く知られている。特にプロテスタント系が最も警戒する教団だ。プロテスタントは、2000年代以前は主に文鮮明(ムン・ソンミョン)教祖の統一教会を最も警戒していたが、その後は最も警戒する対象が「新天地」へと移った。それほど新天地の宣教に脅威を感じているということだ。したがって正統教会は「新天地」を異端と規定している。数年前からはカトリックも新天地警戒令を発令している。

 「新天地」の正式名称は「新天地イエス教証しの幕屋聖殿」。自ら「新天地イエス教会」と略して呼ぶ。「新天地」とは「新しい空、新しい地」すなわち新天新地の略語であり、「証しの幕屋」とは、黙示録の実相を見聞きし証明する幕屋という意味だという。「新天地」はイ・マンヒ総会長(89)によって1984年に設立された。「新天地」は「聖書通りに創造され現れた約束の聖殿」とし、イ・マンヒ総会長のことを黙示録を証明する「約束の牧者」と紹介する。また、「世界で唯一、聖書に隠されている神とキリストの予言とその予言どおりとなった実相を伝える」と主張する。

 「新天地」は、独自の聖書教育機関であるシオン・キリスト教宣教センターで聖書教育を受け、修了試験に合格しなければ入信できず、6カ月の教育期間中は、創世記からヨハネの黙示録までを小・中・高等課程に分けて教育が行われる。「新天地」は「昨年の10カ月間だけで10万3764人がこの教育課程を修了した」とし、「信者が30万人を超えた」と主張している。

 「新天地」は公式ホームページで海外宣教の内容を紹介する中で、中国の武漢にも昨年教会を設立したとしている。一部からは、武漢教会に行き来した信者が感染し、拡散させたのではないかという疑惑が提起されている。これに対し新天地側は「新天地武漢教会は中国当局によって閉鎖されたため活動できず、したがって信者は行き来していない」と釈明した。

 プロテスタント関係者は「新天地」について「イ・マンヒ教主を救世主とする似非宗教」と指摘する。「新天地」のかつてのナンバー2で、イ・マンヒ総会長と事実婚関係だったと主張する世界女性平和グループのキム・ナムヒ前代表は16日にユーチューブに出演し「イ・マンヒは救世主ではなく、私と同じ罪人」と述べ、イ・マンヒ総会長が病院に入院して手術を受けた事実を写真と共に公開し、「病気になったことが明るみに出ないように私が直接看護し、治療費も負担した」と主張した。これに対し「新天地」は「厳然として教団名にイエス教という言葉を入れ、聖殿の教主がイエスであることを明確にしている」とし「私たちの信者は誰もイ・マンヒ総会長を救世主とは言っておらず、個人の主張に過ぎない」と述べている。

 プロテスタントが最も警戒するのは「新天地」の布教のやり方だ。新天地は正統教会やカトリック教会を草刈り場と認識し、いわゆる「刈り入れ屋」という秘密要員を既存教会に浸透させ、信者を惑わせて引き抜くというのだ。特に、牧師の不正などをでっち上げて仲間割れを引き起こし、牧師を追放した後に教会を丸ごと乗っ取る手法を使っているとプロテスタント関係者は主張する。したがって、プロテスタント界は新天地異端対策委員会を設置し、かなりの数の教会が「新天地アウト」、「新天地立ち入り禁止」などの標識を教会の入口に掲げて、信者に警戒を促している。

 韓国教会言論会は21日に発表した声明の中で「現在、新天地勢力には全国に125の偽装した宗教活動の場があり、彼らが小さな会合を開く場も含めれば740カ所になる」とし、「彼ら全体に対する徹底した調査とともに、疾病が拡散しないようにする全方位的な防疫が必要だ」と主張した。

 「新天地」は、ひとまず「18日から新天地傘下の全国の教会および付属機関を全面閉鎖した」とし、「迅速かつ誠実に、防疫当局と自治体の指示および保健当局の要求するすべての事項に従うとともに、諸々の資料を提供しており、今後も積極的に協力する」と述べた。

 しかし「新天地」の特性に合わせた対処をしなければ影響がさらに拡大しかねないという懸念もある。キリスト教倫理実践運動・牧師リーダーシップフォーラム前本部長のファン・ヨンイク牧師は「宗教集団は、内部が動揺したり宗教弾圧と考えたりした場合、熱狂的になって極端な選択をする可能性もあるので、緻密な対策が必要だ」とし、「『新天地』には特殊布教の訓練を受けた人だけでも5万~10万人おり、彼らが教会だけでなく、無料英語教習所や予備校を根拠地とするとともに、職業軍人たちを布教対象としているため、教会閉鎖だけで拡散を防げる保障はないという難点がある」と語った。彼は特に「『新天地』の刈り入れ屋が既存教会に侵入して二重教籍となっている場合もある。既存教会の日曜礼拝に参加しないと新天地教徒と疑われるため、感染した状態で既存教会に来る可能性があり、そうなれば感染が大きく拡散する恐れがある」と主張した。しかし、「新天地」の本部がある果川(クァチョン)の新天地対策市民連帯の共同代表を務める果川聖潔教会のキム・チョルォン牧師は「新天地の信者が既存教会との二重教籍を持つ可能性は高くはないと思う」と述べた。

 これに関し、新天地ソウル教会のチャン・ソンヒ広報部長は「既存教会から新天地教会に籍を移す過程でしばらく二重教籍になることはあるかもしれないが、両方の教会に通うということはありえないと思う」とし「新天地教会だけでなく、神学院や宣教センターなどすべての機関を閉鎖するとともに、伝道活動をはじめとした外部活動を全面禁止した」と釈明した。

 イ・マンヒ総会長は、21日に携帯電話を通じて信者に送った特別メッセージで「今回の病魔事件は新天地が急成長したことを悪魔が見て、これを阻止しようと起こした悪魔の仕業」とし、「私たちは神の種から生まれた神の息子であり神の家族であるので、この全ての試練で迷いに打ち勝とう」と訴えた。

チョ・ヒョン宗教専門記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
「新天地」信徒の礼拝の様子//ハンギョレ新聞社
「新天地」のイ・マンヒ総会長//ハンギョレ新聞社
「新天地」のイベント//ハンギョレ新聞社
https://www.hani.co.kr/arti/society/religious/929223.html韓国語原文入力:2020-02-21 18:26
訳D.K

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