国内でCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)患者が19日の一日だけで22人も増え、地域社会での集団感染が現実化した。大邱(テグ)・慶北地域だけで20人の新たな患者が発生しており、このうち1人の患者とのつながりがある14人の感染者が確認され、国内初の「スーパースプレッディング(一部の少ない感染者により、例外的に多くの人が感染すること)事件」が起きた。保健当局はひとまず局所的な集団感染と見て、疫学調査を続けているが、専門家らは市中感染が早いスピードで展開したものと見ている。
中央防疫対策本部と慶尚北道の説明を総合すると、同日一日だけで新たに22人の感染が確認された。これで国内の患者数は53人に増えた。追加確認された大邱・慶尚北道地域の患者20人のうち14人は31人目の患者と同じ教会(新天地大邱教会)に通っていることが判明した。残りの1人は31人目の患者が入院したセロナン漢方病院(大邱寿城区)の職員である。保健当局は同日午後、慶尚北道清道郡で確認された2人を含め、5人の感染経路を把握中だ。
前日に感染が確認された31人目の患者は大邱に住む61歳の韓国人女性で、発病の前後に教会に4回行っており、7日にセロナン漢方病院に入院した。チョン・ウンギョン中央防疫対策本部長は「31人目の患者を含め、追加で14人が特定の教会と関連しているなど、スーパースプレッディング事件が起きた」と述べた。
大邱・慶北地域の集団感染のほかにも同日、ソウル城東(ソンドン)区で海外渡航歴のない70代の男性の感染が確認された。また、初めての未成年者の患者も発生した。20人目の患者の娘で、自宅隔離中に症状が現れて検査を受けたが、陽性判定が出た。
感染者が大幅に増えたが、韓国政府はまだ全国的な拡散段階ではないとして、現行の「警戒」の段階を維持した。新型感染病が地域社会に広まったり、全国に拡散すれば、「深刻」段階に格上げするという。チョン本部長は「まだ(COVID-19の拡大の)危険を全国的感染拡散と判断しておらず、局所的な小規模集団発病の事例と見ている」と述べた。
一方、専門家らは、事実上の市中感染と見て対応すべきだと指摘する。翰林大学医学部のイ・ジェガプ教授(感染内科)は「市中感染が予想よりも早く始まった」と診断した。このため、患者を早期に診断し、治療する方式で迅速に対処していかなければならないということだ。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「市中感染と見なすべきであり、医療機関を訪れる慢性疾患の患者に感染すれば、より深刻になる」と述べた。
政府は、地域社会におけるさらなる感染の拡大を阻止することに総力を傾ける方針だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は同日、大邱(テグ)・慶尚北道地域で感染者が多数確認されたことと関連し、「地域社会における感染対応体系を大幅に強化し、しっかりした防御網を構築する必要がある」と述べた。保健当局は20日から改正された「COVID-19対応指針」(第6版)を適用し、検査対象を大幅に拡大することにした。感染が疑われれば、海外旅行の有無と関係なく、医療チームの判断によって検査を実施することができる。原因不明の肺炎で入院する患者は陰圧病室や1人部屋でCOVID-19の検査を受ける。
一方、この日国内のCOVID-19患者4人(6・10・16人目の患者)は症状が好転し、2回連続陰性判定を受けて退院した。これまで完治し、隔離が解除された感染者は16人だ。