“経済的困難”に絶望
4人に1人は「月収50万ウォン以下」
10人に6人は「現在失業状態」
基礎生活受給者・一人親家庭には政府支援があるが
立証が難しく対象から除外される
「住居環境」も不安だらけ
半分は月払い賃貸、家族や親戚の家に居住は15%のみ
安ホテル・サウナ・考試院を転々とするケースも
「アパートのような平凡な家がうらやましい」
「社会的偏見」で情報からも疎外
半分はネットで妊娠・育児情報得て
家族・社会の冷たい反応にも深く傷つく
40%が「堕胎や養子縁組を勧められた」
経済的困難と住居不安、社会的偏見。絶望的な中でも子どもを生んで育てようとしている、幼い歳で親になった「青少年父母」が経験している三重苦だ。青少年父母の4人に1人は、月収50万ウォン(約4万7千円)に満たず、一部は妊娠中にも適当な住居がなくサウナや安ホテルなどの臨時の住居を転々としている。10人に5人は「妊娠中絶または養子縁組を勧誘されたり、放置された」と明らかにするほど、家族をはじめとする社会の偏見にも傷ついている。12日、ハンギョレが入手した「青少年父母実態調査研究報告書」には、こうした内容が生々しく含まれている。今回の研究報告書は、「美しい財団」と「韓国未婚の母支援ネットワーク」などが青少年父母315人(満24歳以下、平均年齢18.7歳)を相手に面接・アンケート調査を実施した結果だ。
■経済的困難
青少年父母実態調査結果によれば、回答者の半分以上(53%)の月平均収入は本人・夫婦の給与と政府から受け取る補助金、家族の援助などをすべて合わせても100万ウォン(約9万4千円)に満たなかった。「50万ウォン以下」と答えた人も26%(82人)にもなった。昨年第1~3四半期の単身都市労働者世帯の月平均所得は263万ウォン(約25万円)だった。
青少年父母が経済的困難を負っているのは、ほとんどが単純労務職や臨時販売職などの不安定労働に追い込まれているためだ。315人に過去の労働活動経歴について複数応答を受けたところ、56.5%は食堂の配膳・カフェでのアルバイトなどの単純労務職として働いていた。5歳の子どもを育てているAさん(24)は、面接で「ファーストフード店で時間制アルバイトをしているが、定時退勤が難しいので(子どもを育てる立場では時間が)合わない」と話した。
不安定な短期の働き口も、育児を一手に引き受けなければならない青少年父母には手に余ることだ。315人のうち61%(193人)は、現在失業状態だった。その理由として、32.6%(63人)は「子どもを自分で養育したいから」と答え、30.6%(59人)は「子どもを預ける所がないため」と答えた。実家(両親)の経済状況と関連しても、回答者の64.8%は「経済的にやや苦しい」(24.8%)、「基礎生活受給(生活保護)対象だ」(20%)、「経済的に苦しいが、基礎生活受給対象ではない」(20%)と答え、実家の両親にも頼れずにいると調査された。
誰よりも支援が必要な彼らだが、政府補助金の壁も高い。「青少年父母」は、別途の支援を受ける制度がなく、政府補助金を受けるためには基礎生活(日本の生活保護にあたる)受給、または一人親家庭支援対象として認められなければならない。基礎生活受給者の生計給与を受けるためには、中位所得の30%以下であることが条件だが、単身世帯の基準は月額約52万ウォン(約5万円)で、2人世帯は月額約89万ウォン(約8万5千円)だ。そのうえ、未成年者である青少年父母が基礎生活受給者になるには、扶養義務者である両親に扶養能力がないことを証明しなければならない。だが、青少年父母は両親から敬遠されるケースが多く、地域の住民センターなどに両親の扶養能力不在を立証することも困難だ。
一人親家庭の場合、子ども1人当り月額35万ウォン(約3万3千円)の養育費と月額10万ウォン(約9500円)の自立促進手当が支給される。一人親家庭の居住施設に入ることもできる。だが、青少年父母が事実婚の関係であれば、法的に片親の地位が認められない。多くの青少年父母が両親の同意を得ずに結婚できる年齢(満19歳)になっても、婚姻届を出さずに事実婚の関係を維持しているのにはこのような背景がある。
■不安定な住居
生計が不安定なため、自然と住居環境も危なっかしい状況だ。
青少年父母の51.1%(161人)は、現在月払い賃貸住宅で暮らしている。18.7%(59人)は伝貰(チョンセ、保証金を預けて月々の家賃なく住む賃貸住宅)であり、家族の家で暮らすケースが15.2%(48人)で後に続いた。6.3%(20人)は、サウナや安ホテルのような臨時の住居を転々としている。妊娠や出産期間の居住経験を尋ねると、旅館や安ホテル(26人)、サウナ(9人)、考試院(簡易宿泊施設)(1人)などで過ごしたと答えた。日常生活時以上に徹底した衛生状態が要求される妊娠や出産の期間に、大衆利用施設で暮らせば妊婦のみならず幼い子どもにも害になる可能性が大きい。
それでも彼らは、住居問題でも適切な支援を受けられなかった。出産直後に自身または配偶者の両親の家で暮らしたケースは31.4%(99人)、未婚母施設で暮らした人は13.3%(42人)であり、合わせて44.7%程度だった。こうした傾向は、妊娠初期や出産直前にも同様だった。そのために青少年父母は、面接調査で安定した住居に対する熱望を打ち明けた。高校を中退してコールセンターで働き、4歳の子どもを育てるKさん(22)は「幼い時から両親は月払いの賃貸住宅で暮らしていたが、持ち家でもなく狭い地下だった。アパートのような平凡な家に住むことがうらやましかった」と話した。
だが、青少年父母のための別途の住居対策はない。所得基準を充たせば、韓国土地住宅公社(LH)の伝貰住宅を申請できるが、融資金の5%相当の賃貸保証金を出さなければならない。1億2千万ウォンの融資を受ければ、600万ウォンを出さなければならないという話だ。成人労働者にとっては大きな負担ではないかもしれないが、青少年父母にとっては手にあまる負担だ。韓国未婚の母支援ネットワークのユ・ミスクチーム長は「青少年父母には伝貰住宅の保証金を大幅に下げるか、なくす方向への変化が必要だ」と話した。
■社会的偏見の壁
何よりも青少年父母を苦しめるのは社会的偏見だ。両親など家族と社会から敬遠され、妊娠と育児に対する情報からも疎外されている。
青少年父母の54.3%(171人)は、インターネットサイトに依存して妊娠と養育の情報を得た。家族や住民センターを通じて情報を得たケースは18.7%に過ぎず、保健福祉部や女性家族部のホームページで情報を得たケースは3.2%(10人)に過ぎなかった。高校を卒業して看護補助者として仕事をしながら、6歳の子どもを育てているLさん(23)は「子どもが毎月1、2回は応急治療室に行ったが、応急の状況になれば自分が子どもをどうすれば良いのか途方に暮れた」と話した。
家族と社会の冷たい反応にも深く傷ついた。青少年父母が家族に妊娠の事実を知らせた時、22.9%(72人)は堕胎、15.2%(48人)は養子縁組するよう勧められた。自分で解決しろと傍観したケースも16.2%(51人)に及んだ。17歳で子どもを産んだGさん(21)は「子どもを連れてバスや地下鉄に乗った時、あるおばあさんに『若いのに子どもがいる。最近の人は本当に思い上がっている』と言われた。そのたびにたくさん泣いた」と話した。