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三権分立を損ねる懸念にもかかわらず、「チョン前国会議長カード」選んだ理由とは

登録:2019-12-18 06:26 修正:2019-12-18 07:51
文在寅大統領は今月17日午後、次期首相に共に民主党の丁世均議員を指名した。写真は2016年12月9日、丁世均首相指名者が国会議長在任当時、国会で開かれた本会議で「大統領(朴槿恵)弾劾訴追案」の可決を宣言する姿//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、丁世均(チョン・セギュン)前国会議長を首相候補者に指名するうえで最も優先的に考慮した点は、“安定感”だという。総選挙を控えて対立する国会を運営するためには、6期を務めた国会議員として、党代表と国会議長を歴任した丁候補者が持つ重みと経綸が必要だと判断したようだ。企業出身で産業資源部長官を務めた経済専門家の経歴も考慮された。

 文大統領は17日、丁候補者指名を直接発表し、「温厚な人柄で対話と妥協を重視」し、「和合に向けて協力し、国民に信頼と安定感を与えるだろう」と強調した。三権分立を損なうという批判を避けられなくとも、「統合と和合を導く能力がより重要」というのが文大統領の説明だった。実際、大統領府関係者は「文大統領が丁候補者を選んだ最大の理由は安定感のためだ」とし、「過去、党の院内代表や代表、国会議長を務め、無理なく対立を調整し、妥協を引き出す安定的なリーダーシップを示した」と述べた。

 夏の間、チョ・グク事態で苦しんだ大統領府にとっては、国会の承認問題も重要な考慮の対象となった。来年4月の総選挙を目前に控えた状況で、再び“人事ミス”を犯せば、致命傷になるという危機意識が働いたのだ。首相候補としてキム・ジンピョ議員やウォン・ヘヨン議員など、落馬のリスクが少ない党内重鎮議員が取り沙汰されたのも、こうした理由からだった。首相候補の人選が難航し、李洛淵(イ・ナギョン)首相の留任を深刻に考えたこともあったという。

 丁候補者が持つ経済専門家のイメージは、多くの重鎮グループの中で彼が選ばれたもう一つの長所に挙げられる。文大統領は同日、丁候補者を紹介する際、「経済に詳しい方」だと称えた。進歩陣営の反対で諦めたものの、「キム・ジンピョ候補者カード」を考慮したのも、やはり経済専門家という長所のためだった。大統領府関係者は「丁候補は実体経済をよく知っている」とし、「経済が厳しい状況で、下半期の国政運営を助ける適任者だ」と強調した。

 当初、丁候補者は首相職の提案を受け、「国会議長までした人が首相を務めるのは困る」として断ったという。しかし、その後、自ら推薦したとされる「キム・ジンピョ候補者カード」が難航したうえ、数回にわたる大統領府側からの懇願を受け、気持ちを固めたという。大統領府高官は、「(文大統領が)三顧の礼と言ってもいいほど、本当に苦労して(丁議員の)承諾を得た」と述べた。ユン・ドハン国民疎通首席も「文大統領が『国会議長まで務めた丁候補者がありがたい決断を下してくれた』と述べた」と伝えた。

 大統領府は当初、選挙制改革法案と検察改革法案の処理などが完了すれば、丁候補者を指名する予定だった。しかし、国会の対峙が長引き、総選挙でいかなる形であれ党で役割を果たすべき李洛淵首相をいつまでも引き止めるわけにはいかないという判断から、丁候補を指名した。大統領府高官は「国会の対峙が終わってから落ち着いて発表するつもりだったが、国会の状況がいつ終わるか分からなくなり、選挙日程や後半期の国政運営の必要性などを考慮して、今日発表した」と述べた。

ソン・ヨンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/921200.html韓国語原文入力:2019-12-18 02:30
訳H.J

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