釜山市機張郡(キジャングン)が原発都市というイメージから脱却し、映画の「メッカ」に変身するため、映画振興委員会に室内・屋外撮影場などの敷地を無期限に無償提供する。
釜山市と機張郡は、2016年6月に文化体育観光部・映画振興委員会と締結した実施協約を変更したと17日に明らかにした。
実施協約を再締結したのは、映画振興委員会が室内撮影現場を陶芸観光ヒーリング村に建設し、5年後に機張郡が無償貸与期間を延長せずに施設の撤去を要求すれば、施設の保全が難しい可能性があるとの懸念を機張郡に伝えたためだ。
機張郡は「約束違反だ。法的責任を問う」と反発したが、映画振興委員会は「映画関係者が金海空港に着いてから機張郡まで移動するのは大変」として、屋外撮影場のみを陶芸観光ヒーリング村に建設し、室内撮影場は金海空港近隣に建設すると圧力をかけた。
結局、機張郡は映画振興委員会の要求を電撃的に受け入れた。陶芸観光ヒーリング村に建設するのが屋外撮影場のみとなれば、機張郡を映画のメッカにするという構想に支障を来すことは避けられないと判断したためだ。
変更された実施協約が当初の実施協約と変わった点は3つ。当初は無償賃貸期間を5年単位で更新できるとしていたが、新協約では回数を制限しないという文言が追加された。事実上、無償貸与を無制限に可能にしたのだ。
共有財産法と物品管理法によって、国と自治体には敷地を無償で貸与できるが、映画振興委員会を国家機関と見ることは難しいという指摘を受け入れ、機張郡は条例を作った。条例は「革新都市造成および発展に関する特別法」に基づき、機張郡に移転した公共機関に無償で敷地を貸与できるという条項を入れた。映画振興委員会は政府の公共機関地方移転計画によって2013年に釜山に移った。
変更された実施協約には、映画振興委員会が室内・屋外撮影場の敷地を購入すると機張郡に通告すれば、機張郡は応じなければならないという買収請求条項も盛り込まれた。
2016年6月に釜山市・機張郡・文化体育観光部・映画振興委員会は最初の実施協約を締結した。機張郡は長安邑(チャンアンウプ)奇龍里(キリョンリ)の陶芸観光ヒーリング村(約91万平方メートル)内の敷地25万平方メートルを映画振興委員会に5年間無償提供し、映振委は、ここに室内撮影場となる大型スタジオ、野外セット場、製作支援施設、アートワーク施設、デジタル・ポストプロダクション施設などを建設する。映画振興委員会は京畿道南楊州(ナミャンジュ)撮影所の売却代金660億ウォン(約62億円)を投入して2021年に着工し、2023年に室内・屋外撮影場などが完成する予定だ。