ムン・ヒサン国会議長が立法化を進めている強制動員被害者の解決策(案)の「白紙化」を求める国民請願が提起された。訴訟に参加している強制動員の被害者たちとこれまで問題解決のために努力してきた市民社会団体が相次いで反対意思を表明したのに続いて、国民請願まで登場し、反発が広がっている。
大統領府の国民請願掲示板には先月28日、「強制徴用被害者を無視するムン・ヒサン案の白紙化に力を貸してください」という内容の請願が掲載された。今月1日午後を基準に、参加した人は4日間で1万人を超えた。いわゆる「ムン・ヒサン案」は韓日企業の寄付金と両国国民の自発的な募金に加え、2015年に韓日政府の合意で作られたものの解散した「和解・癒やし財団」に日本が拠出した基金の残金60億ウォンで強制動員被害者たちに“慰謝料”を支給することを主な内容としている。
請願人は「ムン・ヒサン案の大きな問題は、加害国である日本に免罪符を与えていることだ」とし、「被害者にとって最も重要なことは日本の心からの謝罪だ」と指摘した。その上で、「ムン・ヒサン案を見ると、被害国(韓国)が自ら処理することに他ならない」とし、「(強制動員など歴史問題は)加害者が解決しない限り、永遠に繰り返される」と強調した。
これに先立つ27日には「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」と「強制動員問題の解決と対日過去清算のための共同行動」がムン議長を訪問し、「被害者らを侮辱するな」という内容の抗議書簡を渡した。民主社会のための弁護士会(民弁)の過去事清算委員会も28日、声明を発表し、「ムン議長の原則を失った強制動員問題の解決策に反対する」と明らかにした。
ムン議長はこのような反対にもかかわらず、立法化を進めている。最近、ムン議長室は和解・癒やし財団の残金60億ウォンと慰労金の支援対象から日本軍慰安婦被害者を除外する案を検討している。ムン議長は当初、慰謝料・慰労金の支給対象に慰安婦被害者まで含むかたちを構想したが、激しい反発を受け、一旦強制動員被害者に限定する方向に旋回したという。
しかし、慰安婦の部分が除外されたとしても「日本の責任と謝罪」が抜けており、被害者の同意を受けることは難しいものと見られる。訴訟に参加した強制動員被害者側の関係者は、「ムン・ヒサン案は裁判の過程で仮差し押さえ問題が生じ、これが韓日の軋轢の原因になるため、それを封じ込めようという意図によるものだ」とし、「被害者たちにとっては受け入れがたいもの」だと述べた。