税金197万ウォン(約18万3000円)を払わずにいた滞納者A氏は、いつものようにゴルフ場を訪れた。ラウンドを回っていると携帯電話が鳴った。確認すると、「車両のナンバープレートを押収した」という仁川市からのショートメッセージが届いていた。A氏が慌ててゴルフ場の駐車場に駆けつけてみると、仁川市の滞納徴収員を見つけた。彼は直ちに現場で滞納額全額を口座振替し、ようやく自分の車を守ることができた。
仁川市は自動車のナンバープレートを外すというやり方で、今月18~20日に市内のゴルフ場11カ所で自動車税と過料を払っていない滞納車両に対する取り締まりを行い、全部で38台を摘発した。ゴルフ場に来て摘発された車両の所有者たちが滞納していた税金と過料は合計2700万ウォン(約250万円)に達しており、このうち自動車税を2回以上または過料30万ウォン(約2万7800円)以上を納めていなかった11台は現場でナンバープレートを外して保管する押収措置を受けた。一部の滞納者は「なぜゴルフ場にまで来て取り締まるのか」と抗議した。
財産があるのに税金を納めずにいる滞納者と、それを追って取り立てようとする滞納徴収チームの追撃戦が激しくなっている。家を捜索してLPレコード、記念コインなどの趣味の蒐集品を差し押さえる場合もある。京畿道南楊州市(ナミャンジュシ)のケースが代表的だ。南楊州市は、今年家宅捜索で確保した地方税の高額滞納者からの押収物品のうち、高級オーディオとLPを韓国資産管理公社に依頼して10月に公開売却した。オーディオは3651万ウォン(約338万円)、LP2470枚は795万ウォン(約73万7000円)で落札された。
ソウル五輪の記念硬貨を押収したケースもある。釜山海雲台区(ヘウンデグ)マリーンシティーの高級マンションに住む70代のB氏は、地方所得税4800万ウォン(約445万円)を払わずにいた。時価10億ウォン(約9270万円)にのぼる同マンションは息子の名義だった。釜山市の徴収調査官は、滞納している税の納付能力は十分あるのに納付を回避していると判断した。機動チームはB氏の住むアパートを訪ねた。税金2000万ウォン(約185万円)をその場で回収したが、残った動産を差し押さえるため、ソウル五輪の記念コイン11枚を押収した。B氏は残る2800万ウォン(約259万円)あまりの滞納額を納付すると約束したが、もしこれを払わなければ記念コインは公売処分される予定だ。
滞納徴収員たちは、家を捜索しても差し押さえる財産が見つからない時は、銀行を訪れることもある。釜山市徴収特別機動チームは、地方所得税2億ウォン(約1850万円)を滞納していた70代のC氏が銀行に貸し金庫を保有している事実を9月に確認し、すぐに銀行に向かった。彼らはC氏の「赤いラベル」がついた貸金庫を強制的に開き、現金が5千万ウォン(約463万円)入っていることを確認し、その場で押収した。
滞納徴収員による家宅捜索、財産の差し押さえ方法は高度化しているが、高額・常習滞納者も増えている。20日に行政安全部が公開した昨年の高額・常習滞納者リストによれば、今年新たに公開された地方税滞納者は9067人で、滞納額は4764億ウォン(約442億円)だった。このうち個人は6744人、3196億ウォン(約296億円)で、法人は2323法人、1568億ウォン(約145億円)だった。それ以前に公開されている滞納者は6万3533人(法人)であり、滞納額は4兆3503億ウォン(約4030億円)だった。地方税外収入金の滞納者は704人(法人)で滞納額は510億ウォン(約47億3000万円)だった。