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[ニュース分析]同盟に防衛費めぐり外交的横暴働く米国、危機論煽り屈服狙う

登録:2019-11-20 06:41 修正:2019-11-20 15:49

ディハート代表、6倍引き上げた50億ドルを要求 
在韓米軍の手当てや循環配置費用など 
協定にない項目の新設求める 
 
「韓国の準備が整えば、交渉は再開されるだろう」 
説得を超えた一方的な譲歩、“強要”のレベル 
米大使も国会情報委員長を呼ぶ 

専門家、GSOMIAの終了が間近に迫ったことを利用し 
同盟危機論を煽って揺さぶりをかけていると指摘 
「米国、最初からそのつもりで展開した戦術」

韓米防衛費分担特別協定(SMA)における韓米の立場及び主な協議項目//ハンギョレ新聞社

 ジェームズ・ディハート米国防衛費分担交渉代表が19日、「韓国の提案が私たちの要請に沿わなかった」として交渉を中断したのは、米国の要求がもはや“圧力”を越えて“強要”のレベル達したことを示している。交渉の難航を露わにすることで、韓米同盟の危機論を煽り、韓国を屈服させようとする“計算された狙い”と言える。交渉の代わりに力で問題を解決しようとする「外交的横暴」という指摘もある。

 ディハート代表の主張は多くの面で強圧的だ。「韓国の準備が整った時に、交渉が再開されるだろう」とか「韓国側に再考の時間を与えるために交渉を早く終わらせた」という説明は、今回の交渉の目標が韓国を説得するのではなく、韓国の譲歩の確認にあったことを裏付けている。交渉中断の責任も交渉再開の責任も韓国にあるといった具合だ。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル諮問研究委員は、「米国が最初からそのつもりで展開した戦術だ」とし、「韓国に圧力をかけるため、わざと交渉を中断して出ていったのだ」と指摘した。

 交渉がこのように難航した理由は、基本的に米国の要求が行き過ぎているためだ。米国は今年韓国が負担する防衛費分担金の6倍に近い50億ドル(約6兆ウォン)を要求している。これまで維持されてきた防衛費分担特別協定(SMA)に規定されていない、在韓米軍の人件費(手当て)▽軍務員および家族支援費用▽朝鮮半島における米軍の循環配置費用▽域外訓練費用など、新たな項目を加えている。米国は、これらが過去の協定で計算されていない「米国の貢献」だと主張しているが、予め金額を決めておき、後で根拠をひねり出したという指摘が米国内でも提起されている。

2019年11月18日、ソウル東大門区の韓国国防研究院で、チョン・ウンボ韓米防衛費分担交渉大使(左)がジェームズ・ディハート米国務省防衛費分担交渉代表(右)に会った。第11次防衛費分担特別協定締結に向けた第3回会議初日の様子=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 韓国は今回の交渉で、既存の協定の枠組みを維持しつつ、合理的かつ公平な分担を強調している。今回の交渉で韓国が受け入れられる分担基準のひとつは「国防費の増加率」(2020年の場合、対前年比7.4%)レベルだという。今年初めに締結された第10次協定でもこの基準を適用した。政府は物価上昇率や国内総生産(GDP)上昇率など様々な指標を検討したが、国防費の伸び率は高い水準だと判断したようだ。パク・ジェミン国防部次官は同日、国会で「現在、協定体系内で適正な増加率を目標に交渉を行っている」と説明した。

 米国はこのような隔たりを、官吏らを動員して無理やり埋めようとしている。国会情報委員長のイ・ヘフン正しい未来党議員は「7日、ハリー・ハリス在韓米国大使が官邸に呼び、防衛費分担金として50億ドルを出すべきという要求を20回ほど繰り返し、困惑した」と述べた。米国の切迫感と執拗さがうかがえる。今月15日、韓米安保協議(SCM)に出席したマーク・エスパー国防長官も「大韓民国は富裕な国」だとし、「年末まで韓国の分担金が増えた形で協定を締結することが重要だ」と強調した。

 専門家らは、米国のこのようなアプローチが同盟の利益を排除していると指摘する。米国は、韓国をお手本にして防衛費分担金の大幅増額を貫徹させることで、他の同盟国の抵抗を事前に遮断しようとしている。米国は来年3月に終了する米日防衛費分担金協定を更新する交渉で、これより4倍多い80億ドルを日本に要求している。北大西洋条約機構(NATO)にも防衛費分担金の大幅増額を求めている。米国にとって同盟が、もはや共同の利益と価値に基づくよりは、取引に基づいた関係に変わりつつあるのではないかという疑念を抱かせる。

 米国の防衛費分担金の強圧が、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了が迫っている中で加重している状況も注目に値する。一部で提起する韓米同盟危機論を煽り、会談場の外で韓国を揺さぶろうとする世論戦という指摘もある。チョ・ソンニョル諮問研究委員は、「かつては米国が少し圧力を加えるだけでも、韓国政府を意のままに動かせたが、今は韓国政府が原則を維持しながら粘っているため、あからさまな無理筋まで使っている」と指摘した。

ユ・ガンムン先任記者、パク・ミンヒ、キム・ミナ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/917643.html韓国語原文入力:2019-11-20 02:40
訳H.J

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