戦時作戦統制権(戦作権)が韓国軍に移管された後、在韓米軍が削減されるか撤退する可能性があるという一部の見通しに対し、国防長官と韓米連合司令官を務めた人々が懐疑的な反応を示した。彼らは30日、韓米クラブ(会長イ・カンドク)が発行した「韓米ジャーナル第3号」に掲載されたインタビューで、朝鮮鮮島の戦略的価値から、戦作権の移管が在韓米軍の急激な撤退につながることはないだろうと見込んだ。
キム・ドンシン元長官は、「戦作権の移管が直ちに在韓米軍の撤退や韓米同盟の急激な弱体化につながることはないだろうが、懸念があるのは事実だ」としたうえで、「このような懸念を払拭するためにも、韓米は両国の国家統帥指揮機構の指針を履行するSCM(安保協議会)-MCM(軍事委員会)の枠組みを持続的に強化する必要がある」と述べた。
ユン・グァンウン元長官は、「米国の世界戦略上、朝鮮半島の価値が維持される限り、在韓米軍の急激な撤退はないだろう」とし、「ユーラシア大陸の単一強大国の出現というマッカーサー将軍と米戦略家ハリー・サマーズ氏の主張に同意し、その強大国が中国だと想定した場合、在韓米軍の役割は米国の世界戦略上必要だ」と主張した。
彼らは、戦作権の移管時期については、政治的意思ではなく、韓国軍の条件と能力に基づいて決めるべきだと主張した。
キム元長官は「韓米が合意した韓国軍の北朝鮮核ミサイル脅威への対応能力など、細部の条件が忠実に履行されたときに、戦作権を移管してもらえばいい」とし、「まずは韓米がともに条件を満たせるよう努力する必要がある」と述べた。
ハン・ミング元長官は「論理的に見ると、文在寅(ムン・ジェイン)政権任期内に必要及び十分条件が揃った場合、戦作権の移管が可能だといえるが、客観的に正確に評価し、慎重に判断しなければならない問題」だとし、「戦作権の移管は国家の安危と直結するため、いかなる場合にも政治的合目的性が政策的合理性と軍事的判断を歪曲することがあってはならない」と強調した。
ユン元長官は「一部の保守層の政略的反発がありうるが、現政権がこれまで30年間にわたる努力をもとに、政治的かつ外交的に決心すれば、戦作権の移管が可能だと思う」としながらも、「ただし、韓米同盟の持続と一定規模の米軍が駐留することで国連軍司令部の機能を補完するという韓米間の合意が必要だと考える」と述べた。
ジェームズ・サーマン元韓米連合司令官とビンセント・ブルックス元韓米連合司令官も、同紙に掲載されたインタビューで、戦作権の移管時期と関連し「条件を満たす」ことに重点を置いた。
シャーマン元司令官は「戦作権を2022年5月以前、つまり文在寅政権の任期が終わる前に移管することが可能と見るか」という質問に対し、「条件に基づいて決めなければならない。これは連合軍を指揮、統制する正しい能力を保有することに関するものだ」と強調した。戦作権の移管後の在韓米軍の削減および撤退の可能性については、「核兵器の脅威と長距離ミサイルの脅威を含む北朝鮮の深刻な脅威がある限り、信頼できる抑止能力を提供するために在韓米軍は駐留しなければならない」と述べた。
ブルックス元司令官は「韓国軍が保有すべき指揮・統制能力や意思決定者らの連合政策決定システム内の対応態勢、厳選された軍事能力など条件が適切に満たされれば(2022年5月以前でも)、戦作権の移管が可能だ」と答えた。「戦作権の移管後に在韓米軍の削減を主張する人たちは韓国と米国にそれぞれいるだろう」としたうえで、「朝鮮半島で米軍と韓国軍の未来態勢に関する議論は、戦作権の移管とは切り離して行わなければならない。安保状況に応じた精密な評価のもと、議論しなければならない」と強調した。