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チョ・グク長官実弟、逮捕免れ…検察「チョン教授の令状」に悩み

登録:2019-10-10 08:29 修正:2019-10-10 09:47
裁判所「争いの余地がある」として令状棄却 
検察「納得しがたい」、再請求検討
チョ・グク法務部長官が8日午後、京畿道果川市の政府果川庁舎の法務部ブリーフィングルームで「国民と検察が共にする検察改革推進計画」を発表している=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 検察がチョ・グク法務部長官の家族のうち二番目に請求したチョ長官の実弟のC氏の拘束令状が9日未明に棄却され、検察の捜査に支障が予想される。裁判所は棄却の事由として、主要容疑について争いの余地があり、すでに証拠収集が行なわれたという理由を挙げ、検察が今後チョ長官の妻のチョン・ギョンシム教授などの身柄処理を決定する上で影響を及ぼすものとみられる。検察はこの日、「令状棄却は納得しがたい」と強く反発した。

■なぜ令状請求は棄却されたのか

 この日、ソウル中央地裁のミョン・ジェグォン令状専担部長判事がC氏の拘束令状を棄却して明らかにした事由は、大きく三つだ。背任(虚偽訴訟)の容疑に対する争いの余地▽広範囲な証拠収集がすでに行われた点▽採用と関連した金品授受を認めている点だ。C氏の健康状態の悪さと数回召喚調査に応じた点なども棄却判断に反映された。

 背任容疑の場合、C氏が熊東学院の事務局長として公社債訴訟でわざと負けて、本人の建設会社に学校の債券を渡し、学院に損害を与えたという内容だ。この部分は、チョ長官が10年間学院の理事として在職しながら偽りの訴訟に関与したと考えられる状況などが明らかになっており、検察の立場としてはきわめて重要だ。チョ長官に続き、学院の理事として在職したチョン教授と学院の理事長であるチョ長官の母親ともつながる可能性がある。裁判所が「争いの余地がある」としたことをめぐり、「わざと訴訟で負けたのではなく、勝てない訴訟であるため弁論を放棄した」というチョ長官側の主張を受け入れたのではないかという解釈も出ている。ある検事長出身の弁護士は「令状発行の決定には犯罪の疑いがどれだけ重いかがかなりの影響を及ぼす」とし、「裁判所が争いの余地があると明らかにしたのは、それだけ疎明が足りなかったものとみられる」と話した。

 採用不正容疑を認めながらも令状を棄却したことについては、裁判所がこれを「別件捜査」と見たためという分析が出ている。C氏は熊東学院の教師志願者から億ウォン台の裏金を受け取った疑惑を受けており、関連するブローカー2人がすでに拘束された状態だ。通常なら自身の容疑認定と共犯との公平性などを考慮して拘束する要因だが、今回の事件ではむしろ反対に作用した可能性があるということだ。裁判所は却下事由を記者らに知らせるとき、偽りの訴訟の部分を「主要犯罪」、採用不正については「背任収賄」だと明らかにしている。

■検察、強く反発

 法曹界では、拘束審査を放棄したC氏の拘束令状が棄却されたことをかなり異例と見ている。C氏はこれに先立ち、椎間板ヘルニアなど健康上の理由で拘束審査の延期を要請したが強制拘引されており、その後審査を放棄した。共に民主党のペク・ヘリョン議員が最高裁判所から受け取った資料によると、2017年に全国の裁判所で被疑者の令状審査期日に欠席した101人のうち、令状が棄却されたケースは1人だけだ。裁判所としては検察が出した捜査記録だけで容疑を判断しなければならないため、令状を発行する可能性が高くなる。ある次長検事出身の弁護士は「通常、犯罪があまりにも重かったり争う余地がない場合に審査を放棄するが、今回の裁判所の判断は異例」だと話した。

 学院の不正と関連して、C氏の「共犯」2人がすでに拘束されているが、これを主導した疑いを受けているC氏が拘束を免れたことも検察が強く反発している部分だ。検察関係者は「すでに従犯2人が金品授受だけで拘束された」とし、「拘束令状の棄却は納得しがたい」と主張した。検察は直ちに令状再請求の検討に入った。

■今後の捜査に及ぼす影響は

 今回の令状棄却によって、検察は他の被疑者に対する身柄処理決定に慎重を期すものとみられる。検察は、今回の事件の核心人物で三回にわたり召喚して取り調べたチョン教授に対する拘束令状を請求するかどうかを悩んでいる。チョン教授が夫の実弟であるC氏と同様に健康状態が良くないと主張しており、検察がチョン教授の自宅を11時間家宅捜索するなど、広範囲な捜索が行われたとみる余地があるためだ。チョン教授の主要な疑いの一つの私募ファンド疑惑と関連しても、チョン教授側は「5親等の甥を通じた単純投資」という主張を固守している。特に、チョン教授の拘束令状が棄却された場合、C氏とは比較できないほど「過剰捜査」という批判を受けざるを得ない状況でもある。

 8日、チョ長官が就任ひと月を迎え、反復的な令状請求を改善すると明らかにしたことも、検察の判断に微妙な影響を与える恐れがある。チョン教授などチョ長官一家は最近、法務部と最高検察庁が出した「夜間捜査禁止」処置も適用されている。

パク・ジュンヨン、イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/912637.html韓国語原文入力:2019-10-09 21:02
訳C.M

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