文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、早ければ8日にチョ・グク法務部長官候補者を任命するだろうという展望と異なり、「熟考」に入った。克明に分かれる賛否世論だけでなく、チョ候補者側を狙った検察の攻撃的な捜査、任命または撤回後に予想される政局の変動要因などをすべて考慮しているものとみられる。
大統領府の主要関係者は8日、記者団に 「大統領の任命決定が可能な時間が始まったが、まだ決まっていない」と話した。文大統領はこの日、与党などからチョ候補者の任命に対する様々な意見を聞いたという。
「大統領の時間」が長引くのは、チョ候補者の任命をめぐる変動要因が当初の予想より増え、考慮する事項が多くなったからだ。当初、大統領府は聴聞会が終わった週末頃チョ候補者を任命し、10日に予定された国務会議に出席させ、1カ月間続いた議論を終わらせる構想だった。大統領府や与党内部では依然として「任命を撤回するほどの決定的な欠点がない」という主張が多く、正義党が「大統領の任命権を尊重する」として、いわゆる"デスノート”にチョ候補者を含めなかったため、負担を降ろした側面もある。
しかし、検察がチョ候補者の妻のチョン・ギョンシム東洋大学教授を調査もなく起訴するなど予想外に強く出て、野党も国政調査や特検、解任案などを取り上げ強く反発し、状況が複雑になった。与-野党対立から与党-検察の対立などに戦線が増えたということだ。民主党のある議員は「場が広がった。検察改革の問題、公正社会の問題、政治改革の問題まで含めて全体を見なければならない事案となってしまった。来年の総選挙までをまとめて悩まなければならず、どんな選択をしてもその後続対策を検討しなければならないため、(大統領は)苦心に苦心を重ねざるを得ないだろう」と話した。また、別の大統領府関係者も「単なる任命の問題ではなく、検察改革と国政運営の原則など様々な問題について(外部の)話をもっと聞かなければならない状況になった」と話した。
特に大統領府は、検察改革に向けて前面に出したチョ候補者を狙って検察が全面的捜査に乗り出した状況に対し、非常に困惑しているという。単に検察の政治介入に対する不快感を示す水準を超えて、今後の検察改革戦略を全面的に練り直さなければならない立場に直面したためだ。改革の成果が切実な大統領府としては、チョ・グク長官とユン・ソクヨル検察総長の「不都合な同居」と、それによる「衝突」で時間を浪費する状況は避けたいと思っている可能性がある。
文大統領は自分の著書『運命ー文在寅自伝』で、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府当時の検察改革について「時期を逃したため次の機会をつかめなかった。残念な部分だ」と書いている。時期を逃さないために、「誰を切るべきか」を苦心して決定しなければならない瞬間が、文大統領に迫っている。