文在寅(ムン・ジェイン)大統領が1日、3・1運動100周年を迎えて、「私たちが主導する新しい100年の秩序」として「新朝鮮半島体制」を提案し、構想の大枠を提示した。朝鮮半島の非核化が進展すれば、南北が平和・経済協力共同体となり、こうした朝鮮半島の「平和経済時代」が北東アジア・ASEAN・ユーラシアまで包括する経済成長の力になるという“青写真”を示したのだ。
文大統領は同日、ソウル光化門広場で開かれた三一節(独立運動記念日)100周年記念式典で、「新朝鮮半島体制」は「対立と軋轢、理念と陣営の時代」など、冷戦体制を終結させる新しい秩序だと規定した。日帝強制占領期(日本の植民地時代)や朝鮮戦争、分断と冷戦などを経て、強大国の利害に運命が左右された100年の歴史を後にし、南北が主導権を持つ新しい秩序を作るという趣旨だ。
文大統領は、新朝鮮半島体制に転換するカギとして、「平和と経済」を挙げた。まず南北間の「平和協力共同体」が新朝鮮半島体制へと進む最も重要な前提だと強調した。彼は「(平和に向けた)私たちの一貫した意志や緊密な韓米協調、朝米対話の妥結、国際社会の支持を基に、恒久的な平和体制を構築する」と述べた。
朝鮮半島の安定的平和に合わせて、南北間の「経済協力共同体」の構築に乗り出す構想も示した。また「朝鮮半島で平和経済の時代を切り開いていく」とし、このために金剛山(クムガンサン)観光と開城(ケソン)工業団地の再開案などを米国と協議すると明らかにした。また、昨年の9月19日の南北軍事合意により、軍事的敵対行為を終わらせる方法として、軍事訓練や武力増強などについて協議する「軍事共同委員会」の運営に合意したように、朝鮮半島の非核化が進展すれば、南北間の経済共同委員会も構成すると述べた。また、「経済共同委員会は南北いずれもが恩恵を享受する経済的成果を生み出すだろう」と説明した。
文大統領は南北間の平和・経済共同体が、やがてアジアの繁栄と世界平和にも貢献するだろうと見通した。また「朝鮮半島の平和は北東アジアやASEAN、ユーラシアを包括する新しい経済成長の動力になる」とし、「朝鮮半島を縦断する鉄道が完成すれば、昨年の光復節に提案した東アジア鉄道共同体の実現を加速化すると共に、エネルギー共同体と経済共同体へと発展し、米国を含む多国間平和安保体制を堅固にするだろう」と述べた。また「南北関係の発展が、朝米と朝日の国交正常化につながり、北東アジア地域の新たな平和安保秩序に拡張されるだろう」と確信した。
文大統領はこうした“100年の未来”が不可能でないという点を強調するかのように、就任後3年間にわたり朝鮮半島に現れた劇的な変化について言及した。彼は「2017年7月にベルリンで朝鮮半島平和構想を発表したとき、平和ははるか遠くにあり、なかなか手が届かないものと思われていたが、私たちはチャンスを見逃さず飛び出し、平和をつかみ取った」とし、2018平昌(ピョンチャン)冬季五輪の南北接触や昨年の板門店(パンムンジョム)と平壌(ピョンヤン)で開かれた南北首脳会談、南北鉄道・道路連結の推進、西海平和協力地帯の推進などを例に挙げた。彼は「虹のように思われていた構想が、私たちの目の前で一つひとつ実現している」と強調した。
文大統領は、非武装地帯の平和利用と自由往来にも言及した。彼は「近いうちに非武装地帯は国民のものになるだろう」とし、「平和公園の造成や国際平和機関の誘致、エコロジカル平和観光の推進や巡礼路の建設など、自然を保存しながらも南北国民の幸福のために共同使用することができるだろう」と述べた。また「それは韓国国民の自由で安全な北朝鮮旅行にもつながる」とし、「離散家族と失郷民(朝鮮戦争の時に北から避難して南に定住した人)たちが故郷を訪問し、家族や親戚に会えるようにする」と付け加えた。
文大統領は南北統一を早めるためにも、「新朝鮮半島体制」への転換が重要だと強調した。また「違いを認め、心を統合し、互恵的な関係を作れば、それこそが統一」だとし、「統一もそれほど遠くはない」と述べた。