南と北の船が漢江(ハンガン)河口を共に利用するための“海図”が完成した。1953年に停戦協定が結ばれて以来65年間、接近が制限されていた漢江河口で、南北の船が自由に行き来できる“水路”が開かれることになる。
国防部は、昨年末に実施した南北共同水路調査の結果をもとに、調査結果報告書と共に海図の制作を終え、30日に北朝鮮側軍当局に渡したと発表した。海図を手渡すための南北軍事当局の実務接触は、板門店(パンムンジョム)共同警備区域の軍事停戦委員会会議室(T-3)で、午前10時から35分間行われた。
海図には、水深や海岸線、暗礁の位置など、南北の船が共同水域を利用する際に必要な各種情報が書かれている。漢江河口は休戦協定によって南北民間船舶の自由な航行が保障される水域で、南側の金浦(キンポ)半島北東側の端から喬桐島(キョドンド)西南側の端まで、北側の開城市板門郡臨漢里(イムハンリ)から黄海南道延安郡海南里(ヘナムリ)まで、70キロメートル区間だ。同地域は潮水干満の差が大きく、引き潮の際は砂浜の干潟地が大きく現われるが、海図を見ると、引き潮の際、船がどこまで移動すべきなのかがわかる。
国防部は同日、南北軍事当局が実務接触で「漢江河口の民間船舶自由航行に関する実務的な問題を協議し、9月19日の軍事合意により、4月1日から民間船舶の漢江河口の自由航行を試験的に認め、段階的に拡大していくことにした」としたうえで、「1953年の停接協定以来、65年間使用が制限されていた漢江河口で、民間船舶が自由に航行できるきっかけが設けられた。これは南北が共同で成し遂げた意味のある成果」だと評価した。
同日の実務接触には、南側からチョ・ヨングン国防部陸軍大佐をはじめ、南側共同調査団長のユン・チャンヒ海兵隊大佐やファン・ジュン海洋水産部水路調査課長ら5人が出席した。北側からはハム・インソプ陸軍大佐や北側共同調査団長のオ・ミョンチョル海軍大佐ら5人が出席した。
昨年9月19日、南北は「板門店宣言履行のための軍事分野合意書」を締結し、「漢江河口の共同利用に向けた軍事的保障対策を講じる」と約束した。当時国防部は「韓国軍は南北間の共同水路調査および民間船舶の漢江河口水域の利用を軍事的に保障していく予定」だとしたうえで、「特に漢江河口は骨材採取および観光・休養および生態保全など多目的事業の並行推進が可能な水域」だと説明した。漢江河口の骨材採取を通じて臨津江下流地域(ムン山)の水位を下げて水害を予防し、首都圏一帯に骨材需給を安定的に保障する計画だ。中立水域である漢江河口の流域で、南北が共同で建設用骨材を採取して直接利用するか、販売収益などを配分することもできる。これに関連し、政府は「これら事業を推進する場合、国際社会の制裁の枠組みの中で軍事的保障対策を用意していく予定」だと明らかにした。