韓米防衛費分担金特別協定の交渉が進められているなか、米国側が最終交渉案として10億ドル(約1兆1335億ウォン、約1100億円)と協定有効期限1年を提示したことが確認された。これを受け、韓国政府は「1兆ウォン以上の分担金」を検討する代わりに、協定の有効期間を3年にする“逆提案”をしたという。
防衛費分担金交渉の進行経過に詳しい政府関係者は22日、ハンギョレとのインタビューで、「先月28日にハリー・ハリス駐韓米大使が大統領府を訪問し、米国側の最終交渉案として『分担金10億ドルと協定有効期間1年』を提示した」とし、「政府は『1兆ウォン以上は不可能』という既存の立場から一歩後退する代わりに、交渉の有効期間を増やすことを提案した」と説明した。
これまで両国政府は分担金額の“象徴的数字”として、それぞれ1兆ウォンと10億ドルをマジノ線として提示してきたという。韓国の昨年の分担金は9602億ウォン(約928億円)だ。両国は今年から適用される分担金の金額をめぐり、昨年10回の交渉を続けたが、米国側が土壇場で協定の有効期限の縮小を主張したことで、交渉が振り出しに戻った。当初、米国は16億ドル(1兆8017億ウォン)を提示したが、韓国の強い反発を受け、要求金額を徐々に調整して、10億ドルを最終案として示したという。その代わり、米国は協定の有効期間を従来の5年から1年に短縮することを同時に要求した。
韓国政府はこれまで「1兆ウォン以上は不可能」という原則を堅持してきたが、米国側の最終通知により、分担金を“調整”する方針を固めた。ただし、協定有効期間の1年は受け入れられないという立場だ。政府関係者は「両国政府は互いに象徴的な数字を持って駆け引きを行ってきた。我々は1兆ウォンを超えない9999億ウォンで妥結しようとした」とし、「(金額の)数字においては、韓国が象徴性を放棄できる。しかし、1年は受け入れられない。(交渉が終わった)直後に再び来年の防衛費交渉に取り掛かるということ」だと述べた。政府は既存の協定有効期間が5年であることを挙げ、「有効期限3年」を要求したとされる。
ただし、韓国側のこのような提案が受け入れられるかどうかは不透明だ。米国が今回の防衛費分担金協定の有効期間を1年に提示したのは、今年、日本や北大西洋条約機構(NATO)などと交渉を考慮した布石とみられる。米国は昨年12月、ソウルで行われた第10次韓米防衛費分担金特別協定締結のための10回目の会議で、「ドナルド・トランプ大統領の指示で、新たな防衛費分担の原則作りに着手した。今回の協定の有効期間は1年とし、新たな原則に基づいて再交渉しよう」という趣旨を伝えたという。これは、現在米国が各国と締結している防衛費分担金協定の全般的な見直しを意味するものと見られる。さらに、トランプ政権発足後、初めての分担金交渉の相手が韓国であり、新たに締結される韓国との交渉結果が日本やNATOなどとの交渉にも直接影響を及ぼす恐れがあるからだ。外交関係者らは、米国が明確な意図を持っているだけに、1年間の防衛費分担金協定の締結要求を簡単には撤回しないと予想している。場合によっては、協定の有効期間を基本1年とし、追加で延長する案が協議される可能性があるという。