「基礎年金をもらっては取られる」基礎生活保障(生活保護)を受給する高齢者42万人に毎月10万ウォン(約1万円)を支給しようとした案が、結局実現しなかった。9日、保健福祉部によると、今月8日に国会で成立した来年度予算案にこのような対策を施行するために必要な4102億ウォン(約413億円)の増額が反映されなかったという。
基礎生活受給高齢者42万人にとっては、所得下位70%の高齢者に支給される基礎年金が“絵に描いた餅”だ。毎月最低生計基準(1人世帯50万1600ウォン=約5万500円)から所得認定額を引いた分を生計給与として受け取るが、基礎年金を所得認定額に含めるため、その分削られた生計給与が支給されるからだ。基礎年金の導入後5年間放置された問題の解決のため、昨年11月、国会保健福祉委員会が補完策をまとめ、国会予算決算特別委員会にかけられたが、本会議での成立には至らなかった。
今回の予算案成立で、来年4月から約150万人の所得下位20%の高齢者には25万ウォンから5万ウォン上がった30万ウォン(約3万円)の基礎年金が支給される。基礎生活受給高齢者42万人は所得下位20%に入るが、このような対策から排除されるわけだ。老年ユニオンなど市民社会団体で構成された「貧困高齢者基礎年金保障連帯」は8日、声明を発表し、「現行の構造が放置されれば、来年4月から基礎年金を30万ウォン支給されても、その翌月の生計給与から30万ウォン削減される」とし、「国会保健福祉委員会で貧困高齢者の切迫した状況を考慮して増額した予算が、共に民主党と自由韓国党の密室野合の過程でほうり出された」と批判した。
基礎年金が持続的に上昇し、医療給与や住居給与を受け取る高齢者世帯への受給権にも影響を及ぼしうるという懸念が出ている。基礎生活保障給与を受けられる条件は、生計給与の場合所得認定額が基準の中位所得の30%、医療給与は40%、住居給与は44%、教育給与は50%以下の世帯だ。「私がつくる福祉国家」のオ・ゴンホ運営委員長は「中位所得の30%以上なので生計給与は受け取れないが、中位所得の40%以下に属し医療給与を受けた場合、基礎年金5万ウォン(約5万円)を追加で受け取ることになり、医療給与から脱落する可能性もある。一部の社会福祉士らはこのような場合、基礎年金の申請を勧めないこともある」と話した。