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CNN「北朝鮮の嶺底里に新しいミサイル施設」…根拠は商業衛星写真

登録:2018-12-07 07:54 修正:2018-12-07 09:53
5日、両江道嶺底洞基地に「新たな施設建設」と報道 
1999年から韓米情報当局が把握したノドンミサイル基地 
商業衛星写真を根拠に…専門家「商業衛星の写真だけでは分析制限される」 
相次ぐミサイル報道…トランプ大統領の対北朝鮮交渉に対する米国内の反発を反映
CNNが今月5日、北朝鮮の新しいミサイル基地だと報じた嶺底里基地関連の記事=CNNのホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮がサッカンモルでミサイル基地を運営するなど、欺瞞戦術を駆使しているというニューヨーク・タイムズ紙の報道が物議をかもしたのに続き、今回は北朝鮮が嶺底洞(ヨンジョドン)でミサイル基地を拡張しているというCNNの報道が出た。これらミサイル基地は韓米の情報当局によって以前から追跡されてきたにもかかわらず、米国のマスコミが新しい活動を捉えたかのように相次いで問題を提起する背景に、関心が集まっている。

 CNNは5日(現地時間)、北朝鮮が中国国境付近の両江道の山岳地帯にある嶺底洞ミサイル基地で、これまで公開されたことのない新しい施設を建設していると報じた。ニューヨーク・タイムズ紙がサッカンモル・ミサイル基地を「秘密基地」と報じたものと類似している。しかし嶺底洞基地はすでに1999年に韓米情報当局によってノドンミサイル基地とされ、持続的に監視が行われてきた場所だ。韓国軍は同施設を「嶺底里基地」と呼ぶ。ワシントン・ポスト紙も1999年7月、「大統領府関係者」を引用し、北朝鮮がここにミサイル基地を建設していると報道した。CNNの報道のように、新たな活動が公開されなくても、韓米当局の監視網から抜け出せない施設だ。

 CNNは、嶺底里基地から約7マイル(11キロメートル)離れた場所に新たに建設されている施設が、米国まで打撃できる新型長距離ミサイルを隠匿できる基地である可能性があると報じた。ミサイルを保管できる地下トンネルで5つの入口が(衛星写真を通じて)確認されたが、これは北朝鮮が2010年頃に長距離ミサイのために作った施設と類似しているということだ。しかし、嶺底里基地は中距離ノドンミサイルが配備された所であり、新たな施設の性格を断定するのは難しい。ノドンミサイルを改良する過程で、施設を拡張する作業が行われた可能性もある。

 CNNが根拠として提示した写真が、グーグルアースのような民間衛星によって撮られたという点も、報道の不確実性を高める要因となっている。ニューヨーク・タイムズ紙が報じたサッカンモル基地の動向も、民間衛星で撮影されたものだった。韓国軍関係者は「商業衛星写真の海上図だけでは基地拡張の有無を正確に判断し、分析するのは難しい」と指摘した。CNNは米ミドルベリー国際学研究所の衛星写真分析を根拠に提示した。ニューヨーク・タイムズ紙が戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書を引用したのと類似している。非核化問題において、米国内の一部のシンクタンクとマスコミの見解が結合していることを示す内容だ。

 CNNは、嶺底里基地の動向が朝米首脳会談以降、トランプ政権が外交交渉を通じて北朝鮮の非核化をほとんど阻止できなかったことを示していると分析した。ニューヨーク・タイムズ紙がサッカンモル基地を報道する際、北朝鮮が欺瞞戦術を使っていると非難したのと同じ脈絡だ。もちろん、北朝鮮のこうした動向が、弾道ミサイル計画と関連したすべての活動を直ちに中断すると規定した国連安全保障理事会の決議に違反する可能性はある。しかし、北朝鮮がミサイル活動を放棄または中断を約束したことがないという点で、朝米合意を破棄したり、交渉を妨げていると非難することはできない。

 米国でこのように北朝鮮のミサイル基地活動に関する報道が相次いでいる背景には、トランプ政権の対北朝鮮交渉が北朝鮮の実質的な非核化につながっていないという米国内部の不満がある。彼らにとって、トランプ大統領が来年初めに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と2回目の首脳会談を開くのは、好ましくないかもしれない。朝米首脳会談を控え、米国内の世論戦が激しさを増していくことを予告している。トランプ大統領はニューヨーク・タイムズ紙のサッカンモル基地の報道直後、「異常なことはまったく起きていない」として、報道を一蹴した。

ユ・ガンムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/873345.html韓国語原文入力:2018-12-06 18:08
訳H.J

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