「ヤン・スンテ司法部」と「朴槿恵(パク・クネ)大統領府」が、日帝強制徴用被害者が日本の戦犯企業を相手に起こした民事訴訟の結果を覆すために民事訴訟規則まで変えた情況が明らかになった中、実際にヤン長官在任中に変わった規則が活用されたケースは強制徴用訴訟だけだったことが確認された。
最高裁判所は2015年1月、ヤン・スンテ元最高裁判所長官が参加した最高裁判事会議を経て、民事訴訟規則を改定した。改定規則には「国家機関や自治体は公益に関する事項についての最高裁に裁判に関する意見書を提出することができ、最高裁判所は意見書を提出させることができる」という内容が盛り込まれた。最高裁裁判に限って、訴訟当事者でもない国家機関の一方的意見書を受けつけるという趣旨だ。上位法である民事訴訟法に根拠のない内容であり、裁判所内部でも違法という指摘が出たが、最高裁判所は「上告審の充実化」を理由に改定を強行した。
しかし9日、共に民主党のピョ・チャンウォン議員室が裁判所から提出を受けた資料によると、2015年1月の規則改定後、最高裁判所の要求で国家機関が意見書を提出した事件は3件にとどまった。このうち2件は徴用被害者9人が戦犯企業の三菱と新日鉄住金(2016年11月)を相手に起こした訴訟で提出された外交部の意見書だ。この意見書には「法理的に韓国が勝つのは難しい事案」など、否定的な内容が盛り込まれた。残りの1件は地下鉄7号線の工事代金訴訟で、調達庁と企画財政部が先月初めに意見書を出した。違法性の議論まで受けながら規則を改定したが、ヤン長官在任時代に活用された事例は、徴用訴訟しかなかったということだ。「上告審の充実化」は対外的な名分であり、実際には強制徴用賠償判決を覆すための「ワンポイント小細工」だったという点があらわになる部分だ。裁判部の要求なしに国家機関などが自主的に意見書を出したケースも、3年9カ月の間3件(2015年4月最高検察庁、2015年5月ソウル市教育監、2016年1月人事革新処)に止まった。
実際、裁判所事務総局は朴槿恵政府が発足した2013年から強制徴用賠償判決を覆そうとする持続的な試みを行ってきた。規則改定前には「外交部の立場を“書面”で裁判に反映できる方法を新設するために努力」し、改定後には「新日鉄住金事件で外交部の立場を反映する方法を用意した」という文書を作成した。事務総局は外交部の意見書に書かれた「新しい争点」を口実に、この事件を全員合議体に付託し、賠償判決を破棄するという計画を立てたという。朴槿恵前大統領も2016年、「賠償判決が確定すれば国の恥」だとし、外交部に意見書提出を促し、イ・ミンゴル元裁判所事務総局企画調整室長などが外交部の意見書を「事前に受け取った」情況も明らかになった状態だ。