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放射性廃棄物の行方不明事件で内部の「黒いコネクション」の情況が明らかに

登録:2018-09-29 06:23 修正:2018-09-29 06:58
原子力安全委員会による原子力研究院の調査結果 
管理者級の職員たちが介入・ほう助した情況 
「委託業者が横流しした」と主張しながらも 
売却代金の返還も上部への報告もせず 
搬出の供述や記録、証言に食い違いも
放射性廃棄物大量搬出(グラフィック=チャン・ウニョン)//ハンギョレ新聞社

 韓国原子力研究院で放射性廃棄物である鉛や銅、金などが10~15年前に大量に持ち出され、“行方不明”になった事実が今年初めに確認され、波紋が広がる中、この廃棄物の搬出や売却などの違法行為に原子力研究院の管理者級の職員たちが直接・間接的に介入あるいはほう助した情況が、原子力安全委員会の調査で明らかになった。廃棄物に接近できる委託先の窃盗や末端研究員らによる逸脱のレベルを超える“組織的犯罪行為”が行われ、厳格であるべき放射性廃棄物の管理システムに穴があいたという声も上がっている。

 28日、イ・チョルヒ議員(共に民主党)が原子力安全委員会から提出された「原子力研究院の放射性廃棄物の無断処分などに関する調査結果」によると、現在まで確認された2003~2009年における原子力研究院の放射性廃棄物の無断流出及び売却事件について、研究院の部署長級の職員らが搬出当時から知っていたか、直接関与したものとみられる。原子力研究院の規制機関である原子力安全委は今年初め、研究院から廃棄物が無断で流出されたという情報提供を受け、2月19日から6月27日まで、研究院の廃棄物管理記録を再検討すると共に、事件関係者らを呼んで調査を行った。書類上の保管記録とは異なり消えたことが確認された廃棄物は、鉛44トンや鉄製・アルミ・ステンレス30トン、銅6トン、金0.26キログラムなど、合わせて約80トンに達する。これらの廃棄物は原子力の基礎・応用研究を行ったソウル蘆原区にある「ソウル研究炉」(研究用原子炉施設)を解体したり、大田(テジョン)原子力研究院のウラン変換施設をそれぞれ2000年と2004年から解体する過程で出たものだ。

 このうち10.6トンの鉛レンガが2003年5月、ソウル研究炉から消えた事例を見てみると、当該廃棄物を搬出した研究院の職員の供述と関連記録、そして第3者の供述が食い違っている。該当職員A氏は原安委の調査当時、「ソウル研究炉放射性アイソトープ生産施設に設置されていた鉛レンガを大田研究院に移して使用した」と主張した。しかし、A氏が2003年の搬出当時作成した「運搬・搬出通知簿」には、持出し目的が「容器の製作」と書かれており、供述とは異なる。さらに、原安委の調査結果2003年当時、大田(テジョン)研究院にソウル研究炉の廃棄物が持ち込まれた事実がないことが明らかになっており、A氏の主張は説得力に欠ける。これに対し、原安委は調査結果で「鉛レンガが大田研究院に移送されず、関係者の不当な利益のために使用された可能性が高い」と判断した。廃棄物を無断で売却した可能性が高いと見たのだ。

 大田のウラン変換施設で2009年に銅5トンが消えた経緯にも、釈然としないところが多い。研究院の放射線安全管理者B氏は、原安委の調査で「人材派遣会社の社員らによる銅の窃取、売却を把握し、上級者に報告した後、銅電線を回収するため古物商を訪ねたが、すでにリサイクル業者に渡され、回収できなかった」と説明した。しかし、B氏はその古物商の位置を全く覚えていないうえ、委託先の売却代金の返還を求めなかったと、原安委の調査で供述した。原安委は、B氏が事件直後、銅の廃棄物をいくらで売却したのか調べるべきだったにもかかわらず、代金の返還を試みなかった点に注目し、B氏の供述の信憑性を疑っている。当時、B氏などは銅の窃取及び売却事件を研究院長や原案委に報告すらしなかった。

 原安委は独自の調査結果を盛り込んだ文書に「(廃棄物窃取・売却は)個人ではできないこと」という明確な判断を付け加えた。原安委は、「当時、解体責任者と関係者らは廃棄物の窃取・消失にかかわらなかったと主張しているが、鉛や鉄製の廃棄物はフォークリフトやトラックのような重装備がなければ、運送できない」とし、「鉛廃棄物の窃取・消失に研究院所属の解体責任者及び関係者が直接・間接的に関連するか、黙認したものと判断される」と記した。研究院内に重装備が入り、体積が大きな廃棄物が輸送機器に運搬される過程を、少数の個人や外部委託先が密かに決定して実行するのは不可能に近いということだ。

 原安委は、廃棄物の無断持ち出し及び売却過程と、これを通じて不当利得を得た者たちをより正確に把握するため、この事件を今年6月末に科学技術情報通信部と大田地方検察庁に通報し、現在警察の調査が行われている。原安委はそもそも当該廃棄物は外部に漏れる放射線量が少ないため、研究院が原案委に年間放射線量率が低いという事実を規定通りに立証・報告すれば、正常な売却または処分手続きを踏むことできるという立場だ。搬出された廃棄物が環境と人体に有害なレベルではないということだ。しかし、このようなずさんな放射性廃棄物管理体系が情報提供を通じて明らかになっていなければ、危険な廃棄物の搬出を防ぐ手立てがないのではないかという批判もある。何より政府出資の研究機関で明らかになったずさんな管理という点で懸念が広がりかねない。イ・チョルヒ議員は「今回の事件は、原子力研究院の組織的ほう助がもたらした犯罪事件」だとし、「検察の厳正な捜査と共に、原子力研究院の徹底的な改革が急がれる」と話した。

チェ・ハヤン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/863727.html韓国語原文入力:2018-09-28 21:34
訳H.J