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生業のために周辺さ迷ったが…家は小さくなり借金ばかりが増えて

原文入力:2009-09-30午前07:39:41
[<ハンギョレ>-参加連帯共同企画]
1期ニュータウン往十里-借家人たちはどこへ行ったか
住宅保証金 払えずに 70%は他区・京畿道へ
数十年の近所づきあい失い慣れぬ環境で‘放浪人生’

イ・ギョンミ記者,チョン・ユギョン記者

←再開発が進行中のソウル,城東区‘往十里ニュータウン’ 1区域、29日午後あちこちで建物が撤去されている。ニュータウンに住んでいた借家人たちは近隣地域に引っ越し、より高額の貸切保証金を出さなければならないなど苦しい(孤単)暮らしを続けている。イ・ジョングン記者root2@hani.co.kr

ソウル,城東区の‘往十里ニュータウン’から追い出された借家人たちは相変らず往十里周辺のあちこちにいた。この間、家は小さくなり借金が増えて、働き口はなくなった。10年以上付き合ってきた隣近所を失い慣れない環境で全てを新しく始めなければならなかった。往十里住民パク・ソンミョン(51)氏は往十里で部屋5部屋の家に4家族が暮らしていた。保証金500万ウォンに25万ウォンの家賃部屋だった。イ・ミョンバク大統領がソウル市長2年目だった去る2003年頃から「往十里がニュータウンに指定される」という話が聞こえてきた。家主らが浮き足立ち始めた。

妻とともに30年以上‘ミシン仕事’をして暮らしてきたパク氏は1990年から往十里に居を定めた。自身には何のご利益もなかった‘ニュータウン狂風’を避け昨年初めから引っ越しする家を探してみた。だが、借家権価格はすでに上がるだけ上がりきった後だった。城東区の中ではいくら歩き回っても都合に合う貸切住宅は見つからなかった。

彼は結局、昨年11月広津区,紫陽洞に引っ越した。保証金は10倍に上がった5千万ウォン,家賃は30万ウォンだった。5間だった部屋は2間に減った。小さい部屋に机を置けば子供たちが横になる空間も足りなくて、居間を二人の娘に譲った。小さな娘は転校したが長女は高3で転校もできなかった。

変わったのは住む家だけではなかった。生活に押し寄せた衝撃は十分に破壊的だった。再開発で常連顧客たちが町内を去り仕事が途絶えた。悩んだ末に紫陽洞でクリーニング屋を始めたが慣れない町内で位置を占めるのは容易ではなかった。パク氏は「一日に10万ウォンは稼がなければならないのに、とても商売にならない」として「来年には大学へ行く大きい子供の登録料(訳注:入学金+授業料)を用意できるか分からない」と話した。

←(※クリックすればさらに大きく見ることができます。)

馬場洞に引っ越したキム・ソンニョ(40)氏の住居環境も悪くなった。キム氏は往十里では貸切3千万ウォンで中庭の付いた15坪の一戸建て住宅に住んでいた。今は貸切4千万ウォンに家賃10万ウォンを上乗せして半地下の多世帯住宅に住む。上がった住宅保証金1千万ウォンは弟が銀行貸し出しで間に合わせた。彼は「職場が馬場洞なので遠くに離れることも難しく近所は住居価格が大幅に騰がってこの有り様」と話した。

先立って進められた他の研究も同様な現実を伝えたことがある。ソウル,新林総合社会福祉館が去る2002年に出した‘蘭谷低所得層密集地域の再開発にともなう住民移住に関する調査’によれば、ソウル,冠岳区,新林7洞再開発区域住民2067世帯の内、73%が既存生活圏を抜け出していないことが分かった。住民たちが保証金準備のために借金をして世帯当りの債務は597万ウォンから960万ウォンに42.2%も急増した。

幸いに賃貸アパートに入居できた例もあるが憂いがなくはない。中学生,小学生の子供がいるキム・ジンテ(38)氏は昨年7月ソウル,東大門区,典農洞にある賃貸アパートへ引越した。24坪の往十里の家は保証金が2000万ウォン(家賃35万ウォン)だったが、新しく引っ越したアパートは住宅保証金が3500万ウォンだが家の大きさは10坪であり半分になった。往十里で15年間営んできた縫製工場は移転費用に耐えられず昨年12月に処分した。働き口を失ったキム氏は建設労働で暮らしたが、今年の初め銀行から4千万ウォンを借り杏堂洞に小さな工場をまた用意した。しかし縫製工場はいまだに赤字だ。

20年間往十里に暮らしたユン・某(68)氏は昨年3月住宅保証金1500万ウォンを受け取ったが借金を返したら金は残らず、京畿城南市に住む姉の家においてもらった。ユン氏は「20年暮らした所を離れ寂しいが金もなく帰る方法がない」と諦め半分に話した。
往十里で家賃30万ウォンの屋根裏部屋に住んでいたカン・某(65)氏は「屋根裏部屋は住居移転費の支給対象ではない」という理由で一銭も拝むこともできずに今年5月城北区,安岩洞へ引越した。その渦中に家賃は40万ウォンへ10万ウォン上がった。同じ境遇のコ・某氏は「無許可屋根裏部屋だからと移転費をくれないなら住民税はなぜ請求するのか」と訴えた。

27年間暮らしてきた往十里を離れ、7月に東大門区,清涼里洞の賃貸アパートに入居したパク・チュンビョン(59)氏は‘30年来の隣近所’がちりぢりに散ったことを非常に残念がった。パク氏は「往十里に戻りたくとも今は見込みがない」として「誰のためのニュータウンか」と問うた。

イ・ギョンミ,チョン・ユギョン記者kmlee@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/379472.html 訳J.S