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「全教組法外労組」事件、最高裁・政府の事前調整証拠が出た

登録:2018-08-06 08:54 修正:2018-08-06 17:06
元事務総局次長のパソコンから「再抗告理由書」発見 
雇用部が提出前に予め受け取った情況 
代理作成・法理検討などの疑い 
 
高裁の執行停止を引用後、資料には 
「全教組に損害ない」と雇用部に肩入れ 
 
1審の本案裁判の時には裁判長に電話し 
裁判進行状況、判決日程を確認
「司法積弊清算と司法壟断の被害回復を求める教師宣言と司法壟断と法外労組に関するILO結社の自由委員会追加提訴発表記者会見」が6月7日午前、瑞草区の最高裁判所東門前で開かれ、全教祖組合員が司法壟断による全教組の法外労組化を糾弾している=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政府時代最大の労働事件の一つである全国教職員労働組合(全教組)の法外労組通知処分事件と関連して、当時最高裁判所に受付もされなかった雇用労働部側の訴訟書類を、裁判所事務総局が先に受け取った情況が明らかになった。労組の資格を剥奪した一方の当事者である雇用部の核心論理を、裁判とは関係のない事務総局が事前に知ったということであり、裁判所事務総局が雇用部に代わって訴訟の論理を提供したり、最高裁判所の意向に合うように事前に「法理検討」をした可能性が提起されている。特にこの事件は、ヤン・スンテ最高裁時代の事務総局が「朴槿恵大統領国政運営支援」の事例の一つに挙げており、「裁判取引」疑惑を立証する核心の事案になる可能性が高まっている。検察は最近、全教組の関係者を参考人として呼んで調査し、このような状況を確認した。

 5日のハンギョレの取材結果、「司法壟断」の主要関係者であるイム・ジョンホン元裁判所事務総局次長のパソコンのハードディスクから、2014年10月7日付けで作成された「(141007)再抗告理由書(全教組-Final)」文書が出てきたことが確認された。これに先立ち、同年9月19日、ソウル高等裁判所は「雇用部の労組資格剥奪処分を最終判決が出るまでにまず止めてほしい」として全教組が起こした執行停止申立てを受け入れた。これに対して雇用部は最高裁に「全教組を再び法外労組の状態に戻してほしい」という再抗告の意思を明らかにしたが、文書が作成された10月7日には正式な書類受付もされていない状態だった。

 当時の事件の進行の記録によると、最高裁は同年9月30日に事件を受け付けた後、一週間後の10月7日、雇用部側代理人に「再抗告記録受付通知書」を発送した。通知書が発送されたまさに翌日の10月8日、代理人を通じて雇用部の立場が書かれた再抗告理由書が提出されたのだ。文書の作成日付を基準に見ると、雇用部が最高裁に再抗告理由書を正式に提出する前に事務総局が「再抗告理由書」またはその核心内容をまとめた書類を持っていたということだ。これまで司法行政権の乱用疑惑などと関連して最高裁判所が公開した300件余りの文書は、タイトルにつけられた日付が実際の作成日付と同じである場合がほとんどだ。

■事務総局が「労組資格剥奪論理」を代わりに作ったのか

 事務総局が雇用部の再抗告理由書をあらかじめ受け取っただけでなく「最高裁判所の法律専門家」として法理検討を代わりに行ったり、最高裁判事らが受け入れるしかない「論理」を反映して修正した可能性もある。文書には再抗告理由書の目次などが書かれているというが、実際に雇用部が裁判所に提出した再抗告理由書と類似した内容があるという。

 実際、最高裁判所は翌年6月、雇用部の再抗告を受け入れ、全教組の法外労組通知処分の効力を復活させた。二カ月後に行われたヤン・スンテ最高裁長官と朴槿恵大統領の大統領府面会(2015年8月6日)の直前に事務総局が作った「最高裁長官発言資料」には、このような最高裁の判断を「(大統領)4大部門改革のうちの教育部門」に分類した後、「控訴審が効力を停止させた雇用労働部の法外労組通知処分の効力を復活させ、全教組を法外労組の状態に戻した」と評価している。この事件の主審は、今月2日に退任したコ・ヨンハン前最高裁判事だ。

 ソウル高裁が「回復しがたい損害」を理由に、全教組に労組の地位を再び返すよう決定した直後、裁判所事務総局がこれを無力化するため「対策文書」を続けて出したことも明らかになった。2014年9月末に作られた文書には「(この事件の違憲提請事件を受理した)憲法裁判所と最高裁判所が一致団結する必要」(9月24日)、「(法外労組の場合補助金が制限され、団結権・団体交渉権が制限されるという主張は)『回復しがたい損害』に該当すると見るのは困難」、「(ソウル高裁の)効力停止決定は不当だ」(以上9月25日)など、雇用部側の肩を持つ論理が多数登場したものとされる。

■BH(大統領府)フォルダには1審の「報告資料」

これとともに、事務総局が同事件の1審の時から裁判部と緊密に連絡し、訴訟の進み具合や判決の時期を事前に把握し、これを大統領府に“直接報告”していた情況も追加で明らかになった。2013年11月、ソウル行政裁判所行政13部(裁判長パン・ジョンウ)は、全教組の執行停止申立てを受け入れ、法外労組処分の効力を1審判決まで先送りする決定をした。当時のイム元次長のパソコンのハードディスクの「BH」(大統領府)フォルダから発見された「全教組事件報告資料」文書(2014年1月に作成)には、「被告(雇用部)側の状況をみるとき、2回めの期日の時に弁論を終結できるか疑問」だとし、「裁判長の意見では6~8月に判決が可能だろうと予想しているが、被告の意見によって繰り上げられる可能性もあるとみられる」という内容が書かれている。事務総局が裁判長に裁判の進行状況を直接聞いた後、これをまとめて大統領府に報告したものと推定することができる部分だ。この文書には「(政府の労組資格)職権取り消し決定は、法令上根拠がなくても許可されるというのが最高裁の判例」だとし、政府の決定に力を添える部分も出てくる。実際、1審は「裁判長の意見」通り2014年6月19日に判決が言い渡されたが、裁判部は雇用部の全教組法外労組処分が正当だと判決を下した。

 全教組法外労組事件の「裁判取引」疑惑は、5月の調査結果を発表した最高裁判所の独自調査団も調べた内容だ。しかし、事務総局が公式受付開始日前に「再抗告理由書」を確保した理由や、1審の裁判長に事件の経過を確認した理由、「BH」フォルダの存在理由については調査を行わなかった。

ヒョン・ソウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/856354.html韓国語原文入力:2018-08-06 07:21
訳M.C

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