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「選管委公務員にもなる18才、投票だけしてはいけないだなんて」

登録:2018-04-11 23:34 修正:2018-04-12 07:28
選挙年齢引き下げを要求する青少年らの国会前の叫び
キム・ジョンミンさん(左・17)とキム・ユンソンさん(中央・15)が9日午後、ソウル市永登浦区の国会議事堂駅3番出口前の選挙年齢引き下げ4月国会通過要求座込み場の前でハンギョレとのインタビューに応じている=パク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

17才のキム・ジョンミンさんなど青少年3人
先月の剃髪以後「テントで訴え」
4月臨時国会での選挙法改正を要求
韓国党の反対で一歩も進めず
投票権いくら叫んでも幽霊扱い…「ためらう国会に腹が立って」

 今月7日、9級国家公務員採用筆記試験が全国で実施された。 受験資格は満18才以上だった。 18才から8~9級公務員試験を受けることができるからだ。 募集分野には中央選挙管理委員会の選挙行政職も含まれている。 18才から大統領選挙、国会議員選挙などを厳格に管理する選管委公務員になることができるという意味だ。

 「ある法(公務員任用試験令)は18才なら十分にできると言い、ある法(公職選挙法)は18才ではまだ分からないと言って投票権も与えない。 基準があまりにもおかしくて笑っちゃいます」

 剃髪した17才のキム・ジョンミンさんが話した。 彼女は国会正門へ向かう広い道路の脇に“点”のように見える小さなテントで野宿座り込みをしている。 9日で座り込み19日目だ。 満19才から可能な現行選挙権(投票する権利)の年齢を1歳引き下げて「18才以上」に変える公職選挙法改正を要求している。 18才から選挙運動と投票を監視・管理する中央選管委の公務員もできるのに、「18才は未成熟」として投票をできなくさせる“矛盾”を、彼女は理解できない。

 キム・ジョンミンさんは3月22日、15才のキム・ユンソンさんなど他の青少年2人と共に国会前で投票年齢引き下げを要求して剃髪した後、街頭座り込みを始めた。ろうそく青少年人権法制定連帯・子どもの本市民連帯などの市民団体と他の青少年らが彼らのそばで支持座り込みをしている。 この青少年たちの要求は、6・13地方選挙から18才の投票が可能なように4月の臨時国会で選挙法を改正してほしいということだ。 彼らは16才投票にまで進むために、ひとまず18才投票を主張する。 座り込みは4月の国会が終わる5月1日まで続く。 この日、 共に民主党のピョ・チャンウォン議員を始め、民主党・正しい未来党・正義党議員の一部によるテント支持訪問が続く。 テントで会ったキム・ユンソンさんは「(パク・クネ前大統領弾劾の)ろうそく集会に青少年が参加したけれども、政権を変える大統領選挙では投票できなかった。 政権が変わった後、初めての選挙である地方選挙からでも青少年が投票できるようにすべきだ」と言う。彼らは投票年齢引き下げに躊躇する国会の姿が「遅れた韓国民主主義」を象徴的に見せていると感じる。 ジョンミンさんは「国会がためらっているのがもどかしくて腹が立つ」と言った。 二人は前の晩「頭痛がし、体力が落ちて」左腕に栄養注射を打ってもらった。

 彼らはもともと剃髪までしようとしていたわけではなかった。青少年と教育団体の連帯の会であるろうそく青少年人権法制定連帯などに属する青少年らは昨年12月、現行選挙法が「同等な市民」である青少年の政治参加の権利(参政権)を阻んでいるとして、憲法裁判所に憲法訴訟を提起した。1月には「投票年齢を低くすれば全教組の教師が政治的な話をするので、青少年は参政権を享受してはならない」という自由韓国党のチョン・テオク議員(大邱北区甲)の発言を糾弾する大邱(テグ)市内行進も行なった。 2月には「青少年参政権拡大」に参加するという内容のシールを議員室の前に貼って下さいと頼むために、国会議員会館のすべての部屋を三日にかけて回った。 また同じ月には投票年齢引き下げに同意する市民1万8千人余りの署名を、民主党のウ・ウォンシク院内代表と自由韓国党のキム・ソンテ院内代表に伝達した。 3月中旬には選挙の時いつも青少年を「存在しない存在」扱いする現実を批判し、ソウル汝矣島(ヨイド)で透明人間の服装をして「私は透明人間ではない」という行進も行なった。“剃髪”はこのすべての努力にも微動だにしない韓国の政治に対する彼らの反応だった。 ユンソンさんは「参政権がないということは政治だけでなく職場、学校、家庭、すべての社会の仕組みの中で青少年の声が排除されるということを意味する」と言った。 ジョンミンさんも「(選挙において)青少年の声を消そうとする最もあくどい暴力が“未成熟”という烙印」だと指摘した。

 中央選管委は青少年に対する政治的未成熟の根拠は妥当でないとし、すでに2016年8月に投票年齢を引き下げる選挙法改正意見を国会に提出した。「18才の青少年は独自の信念と政治的判断に基づいて選挙権を行使する能力がある」という意見だった。 すでにさまざまな国内法が、18才になれば結婚もし(民法)、運転免許を取り(道路交通法)、軍に入隊し(兵役法)、8・9級公務員になれるように保障している。 だが、投票だけはできないという“おかしな法的衝突”は変わろうとしない。 経済協力開発機構(OECD) 34カ国の中で韓国以外の国は16~18才で投票ができる。

 韓国が「19才投票」に縛られている理由は、自由韓国党の「一人反対」のためだ。 自由韓国党はずっと投票年齢引き下げに反対してきたが、最近は高校を19才でなく18才になる年に終える学制改編を前提とした選挙法改正を主張している。 これは直ちに今年から学制を改編して7才で学校に入学するようにしても、この生徒が11年後18才になって初めて投票が可能になる。 共に民主党などは「選挙法改正に反対する姑息なやり方」と批判している。 自由韓国党の方針のために、投票年齢引き下げを扱う国会の憲法改正・政治改革特別委員会(憲政特別委)傘下の政治改革小委では、選挙法改正論議は一歩も進めずにいる。 政治改革小委の民主党所属幹事であるユン・グァンソク議員は「自由韓国党の立場のために選挙法の4月国会通過が容易でない」と話した。 ユンソンさんは「自由韓国党が主張する学制改編は行政問題であって、選挙権は憲法の保障する市民の基本権の問題だ。 青少年も市民だ。 したがって青少年も基本権である選挙権を当然持つべきだ」と話した。 自由韓国党は18才の投票が許されれば高校3年の教室の政治的混沌と共に、生徒たちが政治的に扇動されるだろうと憂慮する。ジョンミンさんは「非青少年(成人)も扇動される場合が多いが選挙権を剥奪するとは言わないくせに、青少年の投票権は奪っている」と反論した。 特に座り込み中の青少年は「政治的表現の自由を年齢を基準として分けるのも滑稽な話だが、18才が全て高校生でもない」と話す。 18才の投票が許されれば60万人近い有権者が生まれるが、彼らが相対的に進歩・改革指向なので自由韓国党が反対するのだと民主党などは疑っている。

 この日、剃髪した青少年3人が野宿座り込みをしている地下鉄国会議事堂駅3番出口の前のテントの上に、おりしも桜の花びらが舞い散った。 ユンソンさんはだしぬけに「『あの時ほんとうに桜の花が美しかった、そしてその年の4月に青少年選挙権も(国会を)通過したんだ』と記憶したいです」と記者に話した。 今回18才の投票が可能になっても、15才である彼女は直ちに地方選挙で投票することはできない。 彼女は「これは単に18才が投票すべきだという問題ではないですから」と言った。「青少年は『未成熟な子どものようなもの』という嫌悪に対する問題であり、年齢で基本権を制限しようとする“年齢主義”に対する問題」だとユンソンさんは話した。 彼女は座り込みテントと国会正門との間の100メートルほどの間隙に視線を置いて、「ほら、あの国会は怪物みたいです」と短く言った。

ろうそく青少年人権法制定連帯で活動中のカン・ミンジン共同執行委員長、キム・ジョンミンさん、キム・ユンソンさんが9日午後、ソウル永登浦区の国会議事堂駅3番出口の前で自分たちの座込み場の前で言い争いになったある老人と話を交わしている=パク・ソア記者//ハンギョレ新聞社
ソン・ホジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/839874.html 韓国語原文入力:2018-04-10 09:41
訳A.K

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