世界人工知能(AI)やロボット研究分野の学者約50人は5日(韓国時間)、韓国科学技術院(KAIST)が韓火システムと共同で進める人工知能兵器研究に抗議し、KAISTとの関係を切ると宣言した。KAIST側は研究の目的が「破壊用兵器や攻撃用兵器の開発ではない」という内容の釈明書簡を送ったが、学者らのボイコット宣言が直ちに撤回されることはなかった。
KAISTは2月20日、韓火システムと「国防人工知能融合研究センター」を共同設立し、開所式を開いた。KAISTはセンターの設立目的が防衛産業の物流システムや無人航法、知能型航空訓練システムなどに関するアルゴリズム開発にあると明らかにした。
これに対し、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ大学のトビー・ウォルシュ教授など、世界30カ国の人口知能やロボット工学研究者約50人は「KAISTのように名望ある機関が人工知能兵器の開発を通じて軍備競争を加速化するように見られるのは残念だ。私たちはKAISTの総長が、研究センターは『意味ある人間の統制のない』自律兵器の開発を行わないと確約するまでは、公式的にKAISTとのいかなる分野での協力もボイコットする」という内容の公開書簡を発表した。学者たちはボイコットの具体的な例として、KAISTを訪問せず、KAISTからの訪問者を受け入れず、KAISTと関連した研究に参加しないことを挙げた。
最近、国際社会では破壊の最終責任は人間が負うべきであり、ロボットがアルゴリズムを通じて攻撃するかどうかを決定するのは間違っているという世論が強く浮上している。今月13~17日(現地時間)にスイスのジュネーブで開かれる特定通常兵器禁止・制限条約(CCW)会議でも、人工知能兵器の使用問題が議論される予定だ。このような状況で、学者たちはKAISTの研究が「キラーロボット」の開発に繋がる恐れがあるという憂慮を表明したものとみられる。
KAISTは直ちに「国防人工知能融合研究センターは、大量破壊兵器や攻撃兵器など、人間の倫理に反する研究と統制力が欠けた自律兵器を含めた人間の尊厳性に反する研究活動を行わない」という内容の声明を発表し、抗議署名を行った学者らあてにシン・ソンチョルKAIST総長名義の書信を送った。一部の教授は疑惑を解明してくれてありがとうという内容の返信を送ってきたが、署名を主導したトビー・ウォルシュ教授は、返信メールで「署名した人たちと(ボイコットの撤回など)今後の対応について協議する」意向を示したという。
トゥ・ウォンスKAIST広報室長は「韓火システムは、トータルITソリューションのソフトウェア会社で、研究センターの主要目的は空軍のパイロットが模擬訓練をするときに使用する人工知能基盤のプログラムを開発することだ。韓国の兵器開発システムでは大学が兵器開発過程に参加できない」と話した。
一方、「フィナンシャル・タイムズ紙」は今回の事態と関連し、「韓火システムが民間人まで無差別に殺傷するという非難を受けてきたクラスター爆弾(大型爆弾が数百個の小型爆弾に分離され、多数の人命を殺傷する兵器)生産に関与している」と報じたことについて、韓火システムの関係者は「クラスター爆弾は(株)韓火が作るもので、韓火システムは2015年、韓火グループに吸収合併されたサムスン・タレスが前身の会社」だと明らかにした。