キム・イス憲法裁判所長候補者の任命同意案が、結局国会本会議で否決された。5月19日に大統領府が彼を憲法裁判所長候補者に指名してから116日目のことだ。文在寅(ムン・ジェイン)政府になって国会に提出された任命同意案が今回初めて否決され、政局は当分混沌に陥るものと見られる。文大統領と与党は、政治的に傷を負うことになった。
国会は11日午後本会議を開き、チョン・セギュン国会議長の職権上程によりキム候補者の任命同意案を表決に付した。無記名で行われた投票の結果、出席議員(293人)の過半数に至らない145人が賛成したと集計され、4カ月近く漂流したキム候補者の任命同意案はついに国会を通過できなかった。可決のための定足数(147人)に2人不足して案件が否決されると、与党の共に民主党の議員は深い嘆息をついてうなだれた。反対は145票、棄権1票、無効2票だった。これにより、今年1月のパク・ハンチョル前憲法裁判所長退任により8カ月間続いてきた憲法裁判所長の空白事態はさらに長びくことになった。
政府・与党の放送政策を「放送掌握陰謀」と規定して議事日程を拒否した自由韓国党が国会に復帰した初日にキム候補者の任命同意案を否決する事態が起き、当分与野党は再び強硬対立局面に入り込むと見られる。特にこの間「キャスティングボート兼与党のパートナー」と見なされてきた国民の党からは、相当な離脱票があると分析され、民主党と国民の党の軋轢も避けられなくなった。
民主党はこの日の否決により“少数与党”であることが確認されただけに、与党の政治的地位の縮小も避けられない。「立法・予算案処理など定期国会を控えて大幅に力が抜けた様子」という評価が与党内から出ている。文在寅政府の発足後、自主辞退などで落馬した高位職の人事は、アン・ギョンファン法務部長官候補者、チョ・デヨプ雇用労働部長官候補者らに続き計6人に増えた。
大統領府は、キム候補者に対する任命同意案否決の後「無責任の極み、反対のための反対として記録されるだろう」とし、野党を強力に批判した。ユン・ヨンチャン国民疎通首席秘書官は「憲政秩序を政治的・政略的に悪用した最も悪い先例として記録されるだろう」としながら「これで憲法裁判所長の空白事態が続くだろう。今回の事態の責任が誰にあるのか、国民が最もよくご存じだろう」と明らかにした。パク・ワンジュ民主党代弁人も、国民の党に向かって「積弊連帯の責任を免れない」と批判した。
国民の党の安哲秀(アン・チョルス)代表は「国民の党の議員が、果たして司法府独立に適合した方か、均衡感を持っている方か、そういう基準で判断した結果」として「何度も話したように今の第20代国会で国民の党が決定権を持っている政党」と話した。