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[ニュース分析]朝米、先鋭対立は峠を越したが火種は依然

登録:2017-08-15 23:46 修正:2017-08-16 08:04
金正恩「グアム射撃、米国側の態度をもう少し見守る」 
米国側の相次ぐ状況沈静化の試みに呼応 
韓米連合乙支フリーダム・ガーディアンが短期的変数 
9月からは本格交渉と再激突の綱引きになるか
金正恩北朝鮮労働党委員長が14日、戦略軍司令部でキム・ラッキョム戦略軍司令官(左)から「グアム包囲射撃方案の報告を受けたと朝鮮中央通信が15日報道した。テーブル上の地図に、北朝鮮と米国領グアムを直線で結ぶ線が見える=平壌/朝鮮中央通信聯合ニュース

 北朝鮮と米国が、朝鮮半島情勢を極度の危機に追い詰めた鋭い対立様相から一歩ずつ退いた。北朝鮮の相次ぐ大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射とドナルド・トランプ大統領の「炎と怒り」発言に触発された緊張強度も大幅に低下した。だが、朝米が公開的な対話局面の入口を見つけるまでには、まだ少なくない変数がかくれていると専門家たちは診断した。

 金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が14日、「グアム包囲射撃」を公言した北朝鮮戦略軍司令部を視察して、関連報告を受けた後「辛い時間を過ごしている愚かで稚拙な米国の態度をもう少し見守る」と話したと朝鮮中央通信が15日報道した。北朝鮮の最高指導者が当座は米国と全面対抗する意志がないことを確認したのだ。

 金委員長は引き続き「(米国が)我々の自制力をテストして、朝鮮半島周辺で危険千万な妄動を続けるならば、すでに明らかにした通り重大な決断を下すだろう」としつつ「我が党が決心さえすれば、いつでも実戦に突入できるよう常に発射体制を整えていなければならない」と注文した。米国の動きに応じていつでも軍事的対応カードを再び持ち出すことができるという意味と解説される。

 今月8日、トランプ大統領の「炎と怒り」発言とこれに対抗した北朝鮮軍の「グアム包囲射撃」声明を始め、朝米は3日間にわたり「言葉の戦争」を継続した。トランプ大統領は核の使用を含め「米国の軍事的解決法は装填された」などの表現で連日威嚇の強度を高め、北朝鮮軍は具体的な「グアム包囲射撃」方案を出して正面対抗の水位を引き上げた。

 二転三転し基調が変わったトランプ大統領の対北朝鮮発言は、11日午後に外交的解決法を強調してきたレックス・ティラーソン国務長官が記者会見場に同行した席で、平和的解決法を好むと明らかにしたのを最後に静かになった。特にレックス・ティラーソン国務長官とジェームズ・マティス国防長官が13日、共同名義でウォールストリートジャーナルに寄稿文を出し、北朝鮮と交渉する意向があることを明らかにし、米行政府の高位官僚らがいっせいに北朝鮮に対する先制的軍事行動を計画していないことを確認し、危機の強度が完全に弱まった。

 金委員長の14日の発言は、米国側のこうした状況沈静化の試みに一定程度呼応する性格が濃厚に見える。仁済大のキム・ヨンチョル教授は「これまで北朝鮮のメッセージは一貫していた。米国から先制攻撃の話が出ることに対して、北朝鮮も対応能力があるということを示し、米国が先制攻撃をしなければ北朝鮮も対応しないということだった」と話した。ジェームズ・マティス米国防長官が14日、グアム包囲射撃と関連して「もし米国に向けて発射するならば、それは戦争」と警告したが、対応的次元の軍事行動を明らかにしたに過ぎない。

 ややもすると朝鮮半島での偶発的軍事衝突につながりかねない大きな峠は越えたが、緊張の火種が完全に消えたわけではないとの評価が多い。今月21日から韓米連合訓練の乙支(ウルチ)フリーダム・ガーディアンが予定されている。韓米連合訓練期間には北朝鮮の危機感が高まる。キム・ヨンチョル教授は「北朝鮮は乙支フリーダム・ガーディアン訓練がどのように展開されるかを注視しているだろう」と話した。

 韓米連合訓練の時期を無難にやり過ごせば、来月からは朝米が本格的に水面下での接触を通じて「静かだが激しい」綱引きをする公算が大きい。ワシントンポストは13日、米国と北朝鮮がいわゆる「ニューヨークチャンネル」を通した水面下での対話を行い、チェ・ソンヒ外務省米国局長の8月訪米が推進されたと報道した。両国の交渉は決裂したが、朝米接触の動きは着実にあるわけだ。

 ただし、両国双方が大きな賭けに出ている状況で、非核化交渉の入口に入る接点を見つけることは容易でなく見える。妥協点が見つかれば、公開的で公式的な交渉局面に急激に移行することもありうる。

 逆に、水面下での接触結果が遅々として進まないならば、北朝鮮は再び緊張を高めさせることがありえ、米国も強く北朝鮮を圧迫するものと予想される。ク・カブ北韓大学院大教授は「グアム攻撃カードは、北朝鮮が必要ならば再び持ち出す可能性がある」と見通した。トランプ大統領の“口”も再び火薬庫になる可能性がある。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、パク・ビョンス先任記者、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/806889.html 韓国語原文入力:2017-08-15 19:57
訳J.S(2170字)