国民が勝った。大統領の職務は停止され、大韓民国は再び完全な民主共和国に向けた長い旅程の入り口に立った。
2016年12月9日午後4時10分、大韓民国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追案が国会を通過した。国会は憲法によって反憲法勢力を断罪するという主権者の峻厳な命令に逆らえなかった。この日、国会本会議で無記名秘密投票で行われた大統領弾劾訴追案の表決には、在籍議員300人のうち299人が参加した。結果は賛成234票、反対56票、棄権2票、無効7票で、弾劾案可決要件の在籍議員3分の2(200人)の賛成を超えた。
国会は表決の後、弾劾議決書の正本を憲法裁判所(憲法裁)に提出し、憲法裁はろうそく集会の民心と国会の圧倒的な可決というプレッシャーのなか、最長180日間の弾劾審判(主審・カン・イルウォン裁判官)に入った。 午後7時3分、大統領府に弾劾議決書が手渡された瞬間、朴大統領の権限は停止され、黄教安(ファン・ギョアン)首相が大統領権限代行を務めることになった。これに先立ち、朴大統領は弾劾案可決直後に閣僚懇談会を開き、「国民の皆様に誠に申し訳ない」、「憲法裁の弾劾審判と特検捜査に落ち着いて淡々とした気持ちで対応する」と明らかにした。
セヌリ党のチョン・ジンソク院内代表は「韓国の憲政史において不幸なことだが、与野党が再び協治の舞台に出て知恵を集めなければならない時」と明らかにした。共に民主党のウ・サンホ院内代表は「民生の安定対策を早期に発表するなど、国会が主導的に国家混乱の解消策を講じる」と明らかにし、国民の党のパク・チウォン院内代表は「李承晩(イ・スンマン)、朴正煕(パク・チョンヒ)パラダイムをもう終わらせ、新たなリーダーシップの大韓民国として進まなければならない」と話した。
市民社会は今回の弾劾案可決を、遠い旅程の中の峠をひとつ越えたに過ぎないと意志を固めた。退行的な密室統治の「胴元」と、それに寄生していた古い既得権勢力は、依然として強力な抵抗を予告しているためだ。憲法裁の弾劾審判で、今後予定されている国政正常化の議論で、あるいは大統領選挙を控えた各政治勢力の離合集散の過程で、民心はいつでも裏切られかねないという懸念の表明でもある。国会本会議場で採決を見守ったセウォル号遺族のユ・ギョングン氏は「これからが始まりだ、本当の始まりだ」と涙声で話した。「ろうそく革命」の完成のためには息の長い市民参加と隙のない監視が必要だという訴えである。