登録 : 2016.11.04 01:27 修正 : 2016.11.04 07:38

ホン・ソンダム画伯が子どもたちを描いた「吸う息・吐く息」展示会の現場 
遺族10人が訪問客に直接絵を説明し対話 
金曜日には檀園高校の犠牲者を鎮魂する記憶の詩の朗誦会 
ホン画伯「挫折せず苦痛と直面し、惨事の真相を究明しなければ」

「吸う息・吐く息」に展示された416記憶展示館でホン画伯の作品を直接説明するドーセントの教育を受けるセウォル号惨事の遺族たち=416記憶貯蔵所提供//ハンギョレ新聞社
 「すみません。泣いてはいけない場なのに涙が止まりません。それでも辛がってばかりいられないのでこの場に立ちました」

 先月27日午前、安山市檀園区(ダンウォング)古桟洞の現代商店街3階に設けられた「416記憶展示館」。「ドーセント」(美術館などで観覧客に展示物を説明する案内人)として立ったヤン・オクジャ氏は、流れる涙を止めることができなかった。ヤン氏はセウォル号の惨事で犠牲になった檀園高校2年7組のホ・ジェガン君の母親だ。

 ヤン氏は息子と友達が冷たい海の中に吸い込まれる姿が生々しく描かれた絵が展示された展示室に、毎日出勤するように出ている。黄色いTシャツを着て冷静に訪問客を迎えるのが日常となったが、あの日の惨状が描かれた絵の前に立つと、いっぱいに溜まった涙があふれ出る。

 韓国全体が「チェ・スンシルゲート」に沈没しているが、忘却に沈没させられた子どもたちを再び記憶の中に引き上げる意味深い展示会がこの展示館で9月23日から開かれ、2カ月目を迎えた。

民衆美術家として広く知られたホン・ソンダム画伯(61)の作品17点が展示されたこの「記憶プロジェクト」は、『吸う息・吐く息』というタイトルだ。プロジェクトの最大の特徴は、ホン画伯から教育を受けた遺族10人が直接ドーセントとして案内することだ。キュレーターや作家が作品を説明するのではなく、被害者自身が訪問客と直接対話する機会を設ける。

10月27日、セウォル号惨事で息子を失ったヤン・オクジャ氏が416記憶展示館でドーセントとして立ち、ホン画伯の作品の前で当時の惨状を説明している=安山/キム・キソン記者//ハンギョレ新聞社

 セウォル号惨事から1000日目となる2017年1月9日まで行われるこのプロジェクトは、絵と詩の朗読の文化祭であり、毎週金曜日午後7時には「金曜日は共に過ごそう」という記憶の詩の朗誦会が開かれる。記憶の詩は、犠牲になった檀園高校生261人のうち個人の記録が収集され家族が同意した256人に対して、イ・シベク、キム・ジンギョン、アン・ドヒョン、ソン・チャンソプなど「教育文芸創作会」所属の作家35人が創作した作品であり、来年には記憶の詩を別途展示する予定だ。

 犠牲になった子どもたちを思い出す小物で埋め尽くされた天井の下に展示されたホン画伯の絵を見ると、訪問客たちは一様に胸が張り裂けそうになる。「あの日の惨状」がそのまま記録された多くの絵に、子どもたちの苦痛に満ちた声が耳元を叩くようだ。

 死を目前に、友達と最後の「自分撮り」をする子どもたち、亡霊となってセウォル号を海の上に持ち上げる子どもたち、水でいっぱいになった船の中で最後の呼吸をし、もがいている子どもたち…。ここに「みんな、もうそろそろ起きて家に帰ろう」と、冷たい遺体となった子どもたちを引き上げる潜水士の故キム・グァンホン氏の姿が描かれた絵を見つめる訪問客らは、無念のあまり地団太を踏むばかりだ。また、犠牲になった子どもたちが朴槿恵(パク・クネ)大統領を恨みながら面会する場面や、疑問の死を遂げたユ・ビョンオン氏もきっちり登場する。

 「416記憶貯蔵所」文化企画チーム長のウォン・エリ氏は「私たちは息をすることすら恥ずかしく、辛いばかりの時間を送ってきた。吸う息、吐く息をちゃんとすることができるその日に向けた願いを込め、プロジェクトの名前をつけた」と説明した。ウォン氏は「これまで『忘れないよ』という数多くの約束があった。しかし、惨事当日子どもたちが海の中でどのように死んでいったかを生中継で見ていた政府でさえ、その苦痛をつとめて無視してきた。真実を究明してこそ生きる気力が生まれ苦痛が消えるはずだ。そこで『子どもたちが受けた苦痛に皆が直面しなければならない』というホン画伯の助力を得て企画を進めた」と付け加えた。

 惨事当時2年3組だったキム・ドオンさんの母親であるイ・チソン氏(416記憶貯蔵所長)は「これらすべては、痕跡を消して真実を隠そうとする者たちとの闘いであり抵抗だ。無念の死と苦痛を証言する生々しい絵を通じて、私たちは『記憶の拡散』を主張している。国民の皆さんに今一度『記憶との闘い』に参加してほしい」と訴えた。

 作品を展示中のホン画伯は「故郷の裏山に登ると、子どもたちが犠牲になった孟骨(メンゴル)水道が見える。惨事の2日後、彭木(ペンモク)港へ駆けつけたが、軍事政権時代に水拷問を受けた時の悪夢に悩まされ、何もできなかった」と回想した。彼は続けて「しかし、もう『ごめんなさい・忘れない』と言って慰めるばかりではいけない時期になった。遺族はもちろん、私たちは皆悲しみにうちひしがれてばかりいるのではなく、苦痛に直面しなければならない。そうしてこそ真相解明が可能になる」と強調した。12年間安山(アンサン)の作業場で製作活動をしてきたホン画伯は「作家の想像力を総動員してセウォル号惨事の真相究明のための絵を描くことに邁進する」と付け加えた。10月末現在、約400人が訪れたこの展示会は、セウォル号惨事から1000日目以降はTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備反対が繰り広げられている慶尚北道星州(ソンジュ)をはじめ、全国で巡回展示する。問い合わせ+82-31-411-7372。

安山/キム・キソン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2016-11-03 21:55
http://www.hani.co.kr/arti/society/area/768672.html 訳M.C(2535字)

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