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M6.5地震発生時は液状化で釜山・ソウルなどに大きな被害の恐れも

登録:2016-09-18 23:20 修正:2016-09-19 15:25
チェ・ジェスン教授チーム「液状化」を警告 
1964年6月16日、日本の新潟県で起きたマグニチュード7.5の地震の際、液状化現象で地盤が弱まり、建物が横倒しになった=国立災害安全研究院(早稲田大学の浜田政則教授の論文から再引用)提供//ハンギョレ新聞社

砂地盤、浅い地下水、大きな地震動  
3つの条件揃えば、建物横倒れの危険性も 
日本の新潟・神戸地震の際にも大きな被害 
震源地から数百キロメートル離れても安心できない  

「ソウル江南52カ所のうち26カ所は危険」指摘する資料も 
釜山の海岸・仁川市松島なども危険地域 
「2000年以前に建てられた建物には耐震補強が必要」

 慶尚北道慶州(キョンジュ)の地震により、朝鮮半島内陸で大きな規模の地震が発生する危険性が高まる中、地震動で地盤がやわらかくなる「液状化現象」の危険性も高まったことが分かった。

 18日、西京大学都市環境システム工学科のチェ・ジェスン教授の研究チームが慶尚南道梁山(ヤンサン)でマグニチュード6.5の地震が発生した場合を想定して作成された液状化発生の危険図によると、震源から近い釜山(プサン)だけでなく、遠く離れたソウルや首都圏のかなりの区域にも危険が及ぶことが分かった。また、京畿道坡州(パジュ)で同じ規模の地震が発生した場合を想定してみると、数百キロメートル離れた釜山でも液状化が危険等級を示した。また、セ万金(セマンぐム)、始華(シファ)湖、安東(アンドン)湖など、全国12の埋立地と自然湖や人造湖の液状化可能性指数(LPI)を分析した結果、埋立地であるセ万金と始華湖付近は震源地が遠く離れた梁山や五台山(オデサン)で地震が発生した場合も、液状化可能性指数が非常に高いことが分かった。自然湖である花津浦(ファジンポ)、永郎(ヨンラン)湖、鏡浦(キョンポ)湖は、指数が高いのに比べ、人造湖の安東湖、昭陽(ソヤン)湖などは低かった。

 チェ教授は「液状化とは地震で地盤が沼のようになることを指す。地震で振動が生じると、水が流れず、溜まって土がまるで液体のようになり、建物などの構造物が不安定になる」と説明した。液状化という言葉は1953年、日本人学者が初めて使用したが、実際の事例は1964年新潟県中越地震(マグニチュード7.5)と米国アラスカ州の地震(マグニチュード9.2)の際に初めて確認された。二つの地域では基礎地盤が崩壊し、橋梁が倒れてマンションが横倒しになる一方、マンホールなど地中の構造物が地上に浮かび上がった。チェ教授は「統計上はマグニチュード5.5以上の地震で液状化が現れる可能性がある」と指摘した。

 今月12日に発生した慶州の地震は、韓国でマグニチュード6.0以上の地震がいつでも起こりうるという可能性を示した。震源地が埋立地や海岸など、軟弱地盤である場合、液状化現象が発生する可能性があるということだ。液状化は緩い砂層(砂質土)の地盤、浅い地下水、大きな地震動の三つの条件が揃うと起きる。韓国ではソウルや釜山など大都市と仁川(インチョン)松島、菁蘿(チョンラ)国際都市などが危険地域とされる。日本の場合、1995年阪神淡路大震災の際、南西側の兵庫県で液状化現象が広範囲に確認され、2011年の東日本大震災の際にも液状化現象で大きな被害が発生したことが最近の研究で明らかになっている。

慶尚南道梁山にマグニチュード6.5の地震が発生した場合、液状化現象のシミュレーション(資料:チェ・ジェスン西京大教授)//ハンギョレ新聞社

 チェ・ジェスン教授の研究チームが国家地盤情報統合データベースセンターの試錐孔資料をもとに韓国全域の液状化の危険度を分析した地図によると、ソウル、釜山など大都市と海岸を中心に液状化による地震被害の可能性が非常に高いことが分かった。また、国立災害安全研究院がソウル江南(カンナム)地域の液状化の危険度を評価した資料によると、液状化の可能性を判定するための52の試錐孔データを分析した結果、液状化による被害の程度が高い場合(液状化可能性指数5~15)が14カ所、非常に高い場合(液状化可能性指数15以上)が12カ所で、半分を占めた。液状化可能性指数が43.0に達する所もあった。

 慶州地震の原因とされる梁山断層地帯にある釜山は海岸に軟弱地盤が多く、液状化の危険性が特に高い。釜山大学地質環境学科のソン・ムン教授は「蔚山(ウルサン)地震の時、釜山地域のシンクホール現象と上水道管の破裂が液状化によるものという噂が流れたが、事実である可能性は極めて低い。しかし、海岸や洛東江(ナクドンガン)周辺の軟弱地盤には深さが100メートル以上あるところもあり、軟弱地盤の分布に対する精密な分析が必要である」と指摘した。釜慶大学地球環境科学科のカン・テソン教授は「梁山断層帯を調査して見ると、とても小さな規模の液状化のように見える痕跡がある。軟弱地盤では液状化だけでなく、振動増幅効果にも備えなければならない」と話した。1985年のメキシコ地震(マグニチュード8.1)の際も、400キロメートル離れた海岸で発生した地震がメキシコシティに大きな被害を及ぼしたのは沖積土(水によって運ばれて積もった土)地盤の都市に地震動が増幅されて伝わったからだ。

 チェ・ジェスン教授は「液状化に対する備えは、危険度によって決める必要がある。耐震設計コードが提示されていなかった2000年代以前に建てられた建物を診断し、どのレベルから耐震補強工事を行うかを決めるべきだ」と話した。

イ・グンヨン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-09-18 19:09

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/761573.html 訳H.J

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