韓国政府が慶州(キョンジュ)地震を契機に、原発に対する「ストレステスト」を1年繰り上げて実施し、耐震性能も補強することを決めた。しかし、慶州など地震脆弱地帯に建設された原発を縮小・閉鎖する案についてはいまだにこれといった対策がない状況だ。
産業通商資源部は18日、ソウル汝矣島(ヨイド)の韓国電力南ソウル本部で長官の主宰で「地震の後続措置に対する点検会議」を開き、2011年の福島原発事故をきっかけに進められてきた「極限の自然災害対策」(いわゆる「福島対策」)をさらに強化することを決めた。その一環として、まずは原発施設に対するストレステストを2018年末までに完了する計画だ。当初、この事業は2019年末までに完了する予定だったが、原発の安全に対する懸念が高まっていることを受け、1年繰り上げて実施することになった。原発に対するストレステストは福島原発事故以降、欧州連合で初めて導入されたもので、自然災害など外部の影響に対する原発の健康度を評価するものである。
また、政府は原発の耐震性能の補強も2018年4月までに終えることにした。この作業は従来の原発の耐震性能をリヒタースケール6.5から7.0に高めるものだ。ただし、補強対象は原発全体ではなく、原発の安全の中心となる原子炉反応度の制御、原子炉冷却材の圧力・在庫量の制御、余熱除去などの系統に限られる。対象原発は稼働中の24基全てであり、現在までに月城(ウォルソン)1号、古里(コリ)1号、ハンビット1~6号など8基の補強が完了した。政府は放射性廃棄物処理場の耐震性能の強化も進めることにした。
これについて、環境運動連合エネルギー気候チームのヤンイ・ウォンヨン処長は「耐震性能の補強だけでは原発の安全を保障できない」と指摘した。実際、今回、政府が発表したリヒタースケール6.5から7.0への耐震性能の向上は、原発全体に対するものではなく、原発の一部系統だけを対象としている。また、設計から耐震性能をリヒタースケール7.0に補強すると言っても、一部の専門家たちの主張のように7.5の地震が起きれば原発事故を防げない。ヤンイ処長は「地震危険地帯にある月城や古里の原発12基を段階的に閉鎖し、老朽原発の寿命も延長してはならない。電力生産に占める原発の割合を減らすことが必要だ」と話した。
政府と与党のセヌリ党は18日、慶州を特別災害地域に指定する案を検討することにした。 同日、国会で開かれた慶州地震対策・政府与党懇談会で李貞鉉(イジョンヒョン)セヌリ党代表は、「早く調査して要件を満たしていれば、最大限早く特別災害地域に指定してほしい」と要請した。これについてイ・ソンホ国民安全処次官は「慶州が(特別災害地域の条件を満たすためには)被害額が75億ウォン(約6億8千万円)以上でなければならない」としたうえで、「2次被害もあるので、もう一度迅速に調査し、要件が満たされれば、特別災害地域に指定することを検討する」と答えた。「特別災害地域」は自然災害や大型事故などで被害を受けた地域に緊急復旧支援のため、大統領の宣言によって指定される。
一方、政府は12日、慶州震災直後の13日から月城1~4号機に対する精密安全点検を行っている。原子力安全委員会は18日まで原発の安全に異常はないと明らかにした。
韓国語原文入力: 2016-09-18 17:20