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地震規模は3回目の核実験とほぼ同じ 核融合反応利用した増幅核分裂弾か

登録:2016-01-06 23:37 修正:2016-01-07 14:30
政府・専門家ら爆発力分析

 6日、北朝鮮が今回の核実験を水素(爆)弾実験だと主張したが、今回の地下核実験の爆発力が過去に比べて明確な差が無い点を挙げて疑問を示す見解が多い。

原子爆弾、増幅核分裂弾、水素爆弾の威力比較//ハンギョレ新聞社

 今回の地下核実験で発生したリヒター地震規模4.8は、水素爆弾と見るには弱いと言える。1回目3.9、2回目4.5、3回目4.9と比較しても明確な差は見られない。 韓国政府当局者は「水素爆弾であれば既存の原子爆弾より100~1000倍威力が大きいと理解している」として「しかし、今回発生した人工地震の規模が3回目の核実験よりも小さいことを考えると、北朝鮮の主張は誇張されたもののようだ」と話した。

 地震の規模だけで地下核実験の爆発力を正確に測定することは容易ではないと専門家たちは評価する。 震央地の深さや位置、周辺地層の配置や地質により地震波に偏差が生じるためだ。 ただし、北朝鮮が地下核実験を豊渓里(プンゲリ)で継続してきたという点で、各核実験間の相対的規模の差を推察することはできるが、今回の核実験にはこれまでの核実験と顕著な差は見られないということだ。

水素爆弾の威力はTNT 1メガトン相当
原子爆弾の100~1000倍
今回の爆発力は極めて小さく
「水爆と原理は同じだが
前段階である増幅弾である可能性」

 専門家たちは今回の核実験が、水素爆弾というより、水素爆弾の前段階である「増幅核分裂弾」である可能性を慎重に示している。 ジェフリー・ルイス米非拡散センター(CNS)所長は昨年12月、「北朝鮮が重水素やリチウム6のような物質を利用して、既存の核兵器の爆発力を増強させる可能性がある」と予測していた。 リチウム6は核反応を通じて三重水素を合成する原料だ。 北朝鮮専門ウェブサイトの「38ノース」を運営するジョエル・ウィット・ジョーンズホプキンス大訪問研究員も「水素爆弾の製造に使われる物質を既存の核爆弾の爆発力を増すために使ったと見られる」と話した。 重水素と三重水素の制限的な核融合反応を利用して、ウラニウムやプルトニウムの核分裂を促進する増幅核分裂爆弾を実験した可能性があるということだ。

水素爆弾保有国の現況 //ハンギョレ新聞社

 原子爆弾の場合、ウラニウムやプルトニウムの核分裂でTNT10~20キロトン程度の爆発力を得られるが、構造的にTNT50キロトン以上の爆発力を得ることは不可能だ。 核融合反応でウラニウムやプルトニウムの核分裂をさらに加速させればこのような限界を超えることができる。 実際、増幅核分裂爆弾の場合にはTNT 40~150キロトンの爆発力が生じ、爆発力の大部分を重水素と三重水素の核融合反応に依存する水素爆弾の場合は威力がこれよりはるかに大きい1メガトン以上だ。

 北朝鮮は長期に亘り核融合反応の研究をしてきた。 第2次科学技術発展5カ年計画(2003~2007)期間の国家科学院研究課題には「重水素―三重水素核融合」、「リチウム6(Li6)を天然リチウムから分離する研究」などが含まれている。 リチウムは北朝鮮に豊富に埋蔵されているという。 また、2010年から3年間にわたり推進された科学技術発展計画にも、重水濃縮などの研究課題が入っている。 北朝鮮はこれに先立って1980年代に中国が使ったレーザー核融合設備の供与を受けて、これを平城(ピョンソン)にある科学院傘下の理科大学に設置し実験してきたという。

 北朝鮮の労働新聞は2010年5月、自主技術で核融合反応に成功したと報道したことがある。 当時多くの専門家たちは国際制裁を受けている北朝鮮が十分な実験装備を不足し技術的限界も克服が容易でないなどの理由で、北朝鮮の発表に懐疑的な反応を示した。 しかし北朝鮮が2006年10月に初めて核実験を行ってから10年が経過しており、中国の事例などを参照しながら着実に技術開発をしてきた点を挙げて当時成功した核融合反応を利用して増幅核分裂爆弾を実験した可能性が提起されている。

パク・ビョンス先任記者、カン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/725025.html 韓国語原文入力:2016-01-06 19:36
訳J.S(1837字)

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